2024年製作ロッド集

ロッド作品

ブログが大変久しぶりになってしまいました…。2024年は体調が落ち着かず、オーダー分もなかなか進めることができず大変ご迷惑をおかけ致しました。そんな中でも数本仕上げることができ、また自作ブランクスによるテレスコの開発も細々と続けておりました。2025年はそれらを何本か少量販売できそうなところまで来ております。また、ロッド設計に関する新しい知見や技術もいくつか身につき、製作品の性能は特に今年後半かなり高まったと感じています。それらも文章化したいのですが、ひとまず2024年総括ということで製作した主なロッドをまとめておきたいと思います。


DRTツララ79remixの修理

DRTツララTULALA79remix
元はグレーのスレッドを、青系の染料を調合・含浸させて色合わせしました。

折損箇所を継いだだけですが、普通に芯入れただけでは強度も張りも足りず、外スリーブでは修理箇所だけ太くなりすぎるので両方使用しました。継いだだけの案件ですが、せっかくなのでデザインに凝ったり、スレッド色が合わないのを染料を使って合わせ込んだりと、スキルアップに繋がったので載せておきます。


ラドラオ52延長ピース

ラドラオ52延長ピース
ラドラオ52延長ピース
ラドラオ52延長ピース

超低弾性カーボンのボンバダ竿を1ft延長しました。材料は、純正の特性に合わせてしなやかに曲がるNFC高弾性グラスを採用。純正はロゴ以外フルブラックなので、パッと見はそれに合わせつつ、光に当てるとロゴ色に光るさりげないアクセントを入れています。慎重にパワーや調子を合わせ込まないと、良い竿として成立しないので、地味ですが繊細な調整が必要な仕事です。うまくいったと思います。


グリッサンド72パック化&ストロー風セッティング

グリッサンド72パックロッド化
グリッサンド72パックロッド化
グリッサンド72パックロッド化

3ピース化とガイドセッティング変更により携行性と使用感の向上を狙うオーダーでした。感度・バランス・パワーいずれも純正より向上したと思います。印籠はM40XスパイラルXコアの高級仕様です(笑)ストローセッティングについては、前田製作所さんとの御縁もでき、自分なりの解釈も深まってきています。


携帯マルチフィネスベイトロッド

渓流テレスコ
渓流テレスコ

4’4″UL 仕舞寸16.5(21)cm

日淡から渓流・ライトソルトまで対応する懐刀として製作しました。グリップを挿し替えるとロッドカバーになり、収まり良く携帯できます。黒基調という要望に、少し遊び心でチラ見せ差し色と鮑。実釣性能もバッチリです。収まりを考えたトリガーレス仕様でしたが、オーナー様は自作トリガープレートを製作して楽しまれています。そういった愛で方や2次カスタムは個人的には色々な気づきもあって嬉しいですね♪


サビオ79UL-5 Vakarine

インクスレーベルSABIO7.9ULパックロッド化
インクスレーベルSABIO7.9ULパックロッド化
DRCSリールシートに換装
インクスレーベルSABIO7.9ULパックロッド化
アウターリングガイドシステム
インクスレーベルSABIO7.9ULパックロッド化
カウンターウェイト内蔵ガイドコート。このあたりが今年の知見の1つです。
インクスレーベルSABIO7.9ULパックロッド化
チタンティップ&スリーブジョイント

インクスレーベルSABIOを5ピース化しました。ガイドセッティングはオリジナルのスパイラルセッティングであるアウターリングガイドシステム(O.R.G.S.)を採用。通常のスパイラルセッティングより糸抜け、重量、ロッドパワーの面で優れ、旋回方向はユーザー様の好みで選べます。

リールシートはオーナー様のご要望でデジーノDRCSに換装。同時に内部構造を見直してより軽量高感度に仕上げました。パックロッド化とチタンティップ化を行っているにもかかわらず純正より約10gの軽量化を実現しています。

嵌合はスリーブ&ペグジョイントでスムーズな曲がりにしつつ、純正よりやや張りを持たせることで、チタンの重さに負けないベリーを実現。更にカウンターウェイトを設置することで、ダル感を抑制して純正以上にシャープな使用感を出しています。実際にはむしろ柔らかくなっていますが、使用感だけがすっきりするという調整です。

パックロッド化は性能ダウンではない、むしろ性能アップする。そんなところを狙っています。


79XXジャイアントベイトロッド

ジャイアントベイトロッド
ジャイアントベイトロッド
ジャイアントベイトロッド
バランサーレスでこのバランス
ジャイアントベイトロッド
収縮チューブとEVAの段差が出ないよう、EVAを段付き加工

依頼主様の細やかなデザイン要望にお応えし製作しました。軽快な操作感を出すため、バランサーレスで重心位置を調整。カーボンリールシートと、カーボンパイプ複数組み合わせにより重心をコントロールしたグリップは、ジャイアントベイトロッドとは思えない操作感を実現しています。グリップ全体も細身で握り込みやすく仕上げました。デザイン文脈はオーナー様のご希望に合わせて既存のジャイアントベイトロッドに寄せたものの、EVAを段付き成形して収縮チューブとの段差をなくしたり、オリジナルのORGSガイドシステムを採用したりすることで独自性を与えました。素管は、以前入手したNFC製の無名ブランクス(OEM用在庫品)をカットして使用。アクションはレギュラースローで、穂先には4〜6ozクラスをしっかり動かせる張りがありつつ、棒ではなく曲げてパワーを絞り出すトルクフルな調子です。過剰なバットパワーは抑え、曲げ込んで魚をいなせる竿になっています。そこからのパワーはさすがのNFCです。かなり時間を頂いてしまいましたが、自分でも使いたくなる竿に仕上がったかと思います。




自作小継テレスコ開発:LINKシリーズ

最後に自作ブランクスによるテレスコの開発関係です。詳しくは別のブログでまとめますが、現在主要4モデルの方向性で開発を行っています。気が早いですが、シリーズ名や開発コードネームを与えてみました。シリーズ名はLINK。継ぎ、魚との繋がり、感度、フィールドとの繋がり、人の繋がりを表します。

以下、開発の優先順にラインナップ(案)と開発状況です。


〜7ft6inch 仕舞24cm未満Sグラス超バーサタイル:Kanaloa
旧Piccolo Rivolutioneです。Kanaloaはハワイ神話の海神。漁業の神。四大神リーダーのカネの相棒。ドジっ子です(笑)。ブランクス自体は4度の仕様変更を経て、ほぼ形になっています。しかし、いくつか改善したいことに対してもっと良い構造を思いついてしまい、生産体制も含めて大幅に見直すことにしました。楽しみにして頂いている方にはお時間を頂いております。シリーズ中核モデルですので、気合い入れて頑張ります。

超小継テレスコロッド
最新プロト
超小継テレスコロッド
1ozオーバーを余裕で振り切ってバラマンディを寄せるパワーがありながら、ジグ単でこんな釣りも感度良くこなせます!

〜10ft 仕舞30cm前後ソルトショア:Proteus
ギリシャ神話の海神。変幻自在の神であり、様々な可変により、何本もの違う竿のように振る舞えることから名付けています。目指すのは、シーバス、ライトショアジギングが本格的に楽しめ、可変させればチニングエギングなども高度にこなす、いつでも持ち運べる本格ソルトロッド。夢のあるスペックだと思っています。

こちらはKanaloaの次と考えていましたが、今年Proteusでやりたいことにかなり近い仕様を与えられる大陸製振り出し延べ竿に出会えました。使っている材料は巻き方は汎用的な至ってふつうのブランクスですが、なかなかどうして良い出来です。もちろん理想ではないものの、世界観を感じていただくぶんには十分な性能があり、結果的にプロトタイプとしてのProteusを先に販売できそうな状態となっています。

また、私の企画する小継テレスコロッドは、バット部分に可変ギミックが入ります。それによって大きく竿の性格を変えられて、これが変幻自在の異名を与える要素なのですが、逆に言えば可変ギミックを排除して最初からショートモードに絞って制作することもできます。そうすると非常に軽量・軽快な竿となるため、同ブランクスを使った弟的な竿として7ft台のNereusも同時製作することにしました。こちらは別途ブログにもまとめますので、乞うご期待♪

超小継テレスコロッド
Proteusプロトタイプ 初期テスト品。今はすでに解体…
超小継テレスコロッド
左がProteus93MLB-15、右がNereus76LMLS-11のテスト品。どちらもベイトスピニング両方出します。

仕舞10cm強ライトゲーム:Buddy

「相棒」としてポケットに入る竿。テスト中。


仕舞30cm前後 〜8ft XXH剛竿:Oceanus

ギリシャ神話の海神。大洋の神。テレスコでどこまでデカい魚が獲れるか夢を追う竿。未着手。


仕舞25cm前後 〜7ft UL繊細カリカリ:Thetis

ギリシャ神話の海の女神。悲劇と狂気の伝説。まずは2ピースで研究中。




そんな感じで進めています。今年は夢を追いつつ、体調を整えて楽しみながら頑張ります。

釣りフェス、2日目だけ竿持ってお邪魔しようと思います!