【テスト品】高性能渓流・アジング兼用スピニング Buddy48ULS-12 の紹介と販売予定

ロッド作品

【テスト品】Buddy48ULS-12 Prototype

全長4’8″ 仕舞寸20cm 自重64g  

12本継 キャスト重量0〜7g

シングルグリップの渓流スピニング、アジングロッドを高次元で両立し、更に仕舞寸20cmの中にカッコよく収める試みです。

自作ブランクスによるテレスコロッドシリーズの開発計画には、仕舞寸20cmを下回る超コンパクトテレスコロッドの開発計画があります。そのギミックとデザインの試作品として、とりあえず手元に残る小技小物140硬調で組みました。

グリップの基本デザインはトラウト系の文脈ながら、ソルトでも違和感のないモノトーン調です。渓流でも魚の美しさを邪魔せず、かつカッコよく傍らに置けると思います。

ブランクスは最小のコート数で陰影を効かせるキャンディ系塗装を施しました。スカイブルーは渓流では空の色や水の色に馴染み、夜の漁港では視認性を高め、目感度を向上させてくれます。

個性的なだけではなく、実用的な色です。通常は4コートくらい必要な塗装ですが、2コートで極力薄く再現しています。

ティップはいつものチタンティップ仕様ですが、こちらも塗装を施して一目ではチタンとわからない感じに敢えて仕上げました。

ガイドセッティングは、風への耐性と糸抜けの良さを追求。多点ですが小さすぎないため、極軽量リグでも放出性は良好です。

またバット部はREC社の超弾性チタンフレームガイドを、ティップ〜ベリーは溝入りセラミックガイドをスレッド巻き。デザイン的なアクセントと統一感を出しながら、移動中の打撃による破損リスクが通常のフジ製ガイドより抑えられています。

フレームレスで軽量なだけではなく、仕舞寸も抑えてくれ、指でグリグリやったくらいではビクともしません。

いつも通りすべて玉口固定ガイドで、全長が短いこともあり、ラインを通したままならドラグを緩めて引き出せば自動的におおまかな位置が揃います。そのため渓流では高巻き時にさっとポケットに仕舞い、登りきったら10秒足らずで釣り再開という極めて安全かつ便利なロッドとなります。

グリップも仕掛けがあります。材料はヒトトキワークスさんのグレーEVAが余っていたのでそちらを微調整して使用。他メーカーの黒いEVAに比べて柔らかいのですが、用途的に強く握らないのと、軽さ、そして見た目から採用しました。

一見ふつうの接着に見えますが、実はグリップごと抜くことが出来ます。キャップ兼グリップです。一般的なテレスコロッドのエンドキャップはどうしても使用中に緩んだり、紛失したりするリスクがありますが、これはまず失くしません。そしてわずかですが、無段階のレングス調整が出来ます。これはキャストのしやすさというより、後述のバランスや感度特性の調整に使って頂ける機能です。

準備の楽さは性能の一つです。あ!あそこに大岩魚が見えた!なんて場面でもすぐキャスト可能です。

この竿はかなり不思議な重量バランスを得ています。いつもは大きく伸縮するグリップを採用して設計自由度を確保していますが、今回は伸縮が微調整程度のシングルグリップ。仕舞寸が短い中でグリップ長を確保するため、苦手なアップロックを採用しました。そしてテスト品は可能な限り余り部品や廃品を利用します。これらのことはバランス面においても特異性をもたらします。

リールシートはトラウト系形状の軽量カーボン製シート。フロントフードはフジの汎用フードの樹脂部分を流用して、エポキシと切削によりくびれを持たせた軽量フード。リアフードとスクリューは、トラウト系では比較的軽量なシートをダブルロックにして採用。このテのシートはリールを取り付けると隙間が開きがちですが、内径の樹脂パーツを削ったことで、あらゆる小型スピニングで隙間なく固定できます。細かいところですがデザイン面でのこだわりです。

フロントフードのくびれ気に入ってます。元は汎用フードから金属パーツ外した残りです。

これらの構成の結果、リールシートの前側はかなり軽量、掌の中にくる後側に金属パーツが集中する構成となり、バランサーレスの低慣性モーメントシングルグリップなのに前後バランスが良好という不思議なグリップとなりました。

渓流で使用予定のマイコンSS(約215g)では、わずかに前下がりで軽快に操作できる完全バランスに近い設定、アジングで使う140g未満の軽量リールでは荷重変化を豊かに感じられるよりティップ寄りのもたれバランスです。

マイコンSS。シングルグリップでこの位置なのは、一瞬気持ち悪く感じます。
カストキングの軽量リール。隙間なく装着できるのもこだわりですね

アジングだけ考えればとにかく軽さに振った方がいいかもしれません。荷重変化感知においては軽さは基本的に正義です。(いわゆる反響感度はその限りではないと思っています)

しかしこの竿の場合、掌の中だけに重量物が集中しているので、楽に手元を安定させてくれるので脱力しやすく、結果的に自重のわりに荷重変化を拾いやすくできています。そもそもその自重も、重厚なトラウト系デザインのグラス製テレスコロッドとしては軽量な64gです。高次元の両立ができたと思います。

ベースは懐かしの小技小物140硬調デッドストックです。Sグラスで全体的に反発速度がゆったりとしたしなやかな竿なので、アジングでは荷重変化をしっかり感じつつ、感度設計による豊富な振動伝達との両立を楽しめます。渓流では、私のような下手くそにも優しい反発速度で、ミノーの動かしすぎとバラしを抑えてくれます。結果的にはエリアトラウトも満足できる調子でしょう。

収束もきれいです!

仮組み品を今年のキープキャストで何人かに触って頂き、ご意見を頂きながら微調整しました。

ふつう、ブランクスは先端と末端をカットしたり継ぎ足したりはできるものの、中間を抜くことは不可能です。しかし超小継テレスコでは、わずかであれば継ぎ目のメス側を詰めることができます。ガイドセッティング以外にも、調子を変える手段があるのです。もちろんやり過ぎは破損や調子の破綻に繋がりますが、部位ごとにわずかにアクセントを加えるような調整ができるのです。今回はティップからベリーの反発速度を少し上げる方向で調整しました。

カットされた可哀想な部分…。自作ブランクスでないこと、ガイド位置は玉口でほぼ決まってしまうことから、あらゆる手段での微調整方法を編み出しています。

もう今後は入手できないブランクスですが、なんとか近いブランクスの調達も目処が立ったので、こちらも遠くないタイミングでテスト販売したいと思っています。Nereusプロトよりは安くしたいですが、あまり変わらないかもしれません…。乞うご期待!