ベイトアジングよもやま話と、夢のある竿をモニターさせてもらった話。Clearblue Crystar63BF-Premier

2022年7月16日タックルインプレ

久々のブログです。
自分はスキルも時間も不足している素人なので、基本的にモニターやテスターのような役割はしたくないなと思ってきました。
しかし今回、ご縁で発売前の面白い竿を貸して頂くことになりました。自身初のモニター竿、クリアブルー社のクリスター63BFプレミアです。開発の経緯から実は知っている竿なので、今回有り難く請けさせて頂きました。この記事では63BFプレミアのインプレ、そしてベイトアジングの持つメリットについて詳細に語ります。

ストーリー

クリアブルーはアジング専門ブランドとして活躍しておられますが、その中でもベイトアジングを積極的に展開しているのが特徴です。ご縁を繋いでくれたのはやはりロッドビルドで、同社のベイトインストラクターを務めるファンキーベイト野郎こと秀星氏との出会いでした。
数年前、彼や彼の友人のビルダーさんと知恵や技術を持ち寄って、ベイトアジング、特にショアのアンダー1gジグ単ゲームという当時ただの酔狂であった世界を深めていきました。
ベイトアジングが登場した背景には、吊るしでアンダー1gを投げられるリールの登場があります。しかし本格的にジャンルとして確立させるには、投げられる「だけ」ではダメです。スピニングに対するデメリットを抑えつつ、ベイトならではの魅力をアジングに適用する。それができて初めてジャンルとして意味を持ちます。
クリアブルー社のベイトアジングロッド処女作であるクリスター55BFマスターには、そんな探求の成果がエッセンスとして含まれています。
(…それにしてもまぁよくもこんなニッチジャンルで金に糸目をつけない仕様の竿を売れたもんだ(笑))

クリスター55BFマスター 製品ページ

嬉しいことにこの竿は販売面でも一定の成果を得たようで、秀星氏の情熱とクリアブルー社の挑戦が、ニッチ市場の潜在ユーザーに受け入れられた形です。
そしてベイトアジングの次なる一振りとして開発されたのが63BFプレミアです。

ベイトアジングって意味あるの?

ボートでのバーチカルゲームを除いたショアのジグ単ゲームで、果たしてベイトタックルのメリットはあるのか。以前ブログでベイトタックルによるエリアトラウトについてまとめましたが、アジングについては「ただの酔狂ではない!」と言い切れるまでに時間がかかりました。しかし現在では十分に1つの選択肢として成立していると思っています。

飛距離・キャスタビリティについて
ジグ単ゲームは、ジグヘッド0.5gに2inchワームといったリグが、多少風があっても投げられるレベルが求められます。まず飛距離は論より証拠、動画で紹介します。

0.5gレベリングヘッド+アジアダー ロッド:自作プロト リール:スティーズCT+中華スプール
ほぼ無風下。1投目はブレてしまったが、2投目は成功。キャスト「後」のスプール径実測が実測約27mm、ギア比8.1とハンドル回転数で計算するとライン放出量約15.8m。単純計算ですがまぁまぁ飛んでます。

最新のフィネスリールと専用ロッドの組み合わせで、15m級の飛距離が出せます。これはスピニングと同等といっていいでしょう。
そしてベイトタックルは構造的にラインスラックが出にくく風に煽られにくい特徴があり、実は強風下ならスピニングより安定して使えるという優位性があります。一昔前のイメージですと「バックラッシュは?」と言われそうですが、最新のダイワAIR系リールやシマノBFS系リールなら吊るしでも十分投げられます。それ以外でも社外軽量スプールでほとんどのフィネスリールが今やアンダー1gを実用領域にしています。むしろスピニングよりもラインスラックに起因するトラブルの予防は楽であり、風の影響・トラブル回数・キャスト時の予備動作時間も考慮すれば、平均飛距離・キャスト回数はどちらもベイトが上回ります。つまり、同じ釣行時間でより長く水中にリグを通せるのはベイトタックルなのです。

ただし好条件下での最高飛距離、フロートなどの遠投リグの飛距離はやはりスピニングに分があると思います。その分野にベイトタックルで挑むことも不可能ではありませんが、それは幾多の犠牲と鍛錬の日々を乗り越えた選ばれしベイト使いにのみ許された領域といえます。またスラック処理も中級以上のアングラーならベイトスピニング問わず問題なくこなすでしょう。


リグ操作・フッキング・ファイトについて
前述の通り、ベイトタックルの特徴の1つに「ラインスラックの少なさ」が挙げられます。キャスト時にラインがスプールを引っ張りながら放出され、またガイドが多点であることなどからこの特徴が生まれます。そしてもう1つ、スピニングとの決定的な違いとして「重量物(リール)及び重心が掌の中にあり、リール自体も軽量である」ことが挙げられます。この2つの特徴がベイトアジング独特の操作性をもたらします。

リールからリグまでの遊びが少なく、重量物が手の中に収まっていることから、操作やフッキングは手首を返すだけで決まります。スピーディーかつダイレクトな操作性こそベイトタックル最大の強みであり魅力なのです。
※私の中で、このタックルの重心(慣性モーメント)に関して初めてメディアで言及したのはゲンタ氏であり、以前紹介した氏の動画を改めて載せておきます。

いやーしかしこのタックルは何度見てもすごい。該当のお話は5:11~ですが全部見て

なお後述しますが、タックルセッティングを煮詰めていくと、ややスロー気味のしなやかな竿に本線PEというのが一つの結論になります。するといわゆるパッツン系スピニングに比べて、竿を曲げて魚をいなすファイトになります。身切れを防ぎながら気持ち良い竿の曲がりを楽しむ。そんな魅力も兼ね備えることになります。


弱点であったフリーフォールが今や強みに
数年前までのベイトアジングにおいては、飛距離以外に明確な弱点がありました。それはフリーフォールが実質不可能であるということでした。例えクラッチを切っても、軽量すぎるリグではスプールを回すだけの力が得られなかったのです。しかし現代のフィネスリールは飛距離だけでなく、このフォールスピードを克服しています。きちんとフリーフォールでラインが出ていくのです。

詳しくは下記の秀星氏の動画で

24:21~フリーフォールの速度を計測しています。

こうなると、スピニングにないメリットが出てきます。ベイトリールはラインの出し入れをクラッチ操作1つで行えるため、フリーフォール時のバイトに対し即座にフッキングが可能です。スピニングのようにベイルを起こしたり、むりやりスプールを手でつかむ必要などありません。ロッドを持つ手1本だけで一瞬のうちに操作が完結します。先述の操作性と相まって、フォールバイトを掛けていく釣りでは明確にベイトタックル優位といっていいでしょう。

スルスルスル…コンッビシッ!

ラインをコントロールしつつもまるで延べ竿のような感覚。これぞベイトアジンガーの愉悦であり、タックルの進化がもたらしたメリットです。

ベイトアジングタックルに求められる要素

これらメリットを活かし切るためには、もちろん最新のリールもしくは一世代前のカスタムリールが必要になってきます。ただそれだけでは足りません。現時点で私が必要と考えている要素を挙げていきます。

1)PE+ロングリーダー ※ただし発展途上
キャスタビリティのためにラインまで含めたスプールの軽量化は必須で、やはりPEラインとの相性が良いです。万一のバックラッシュ時もライン耐久性的に安心です。そうすると、例えばエステルを巻いたスピニングよりわずかに重めのリグセッティングにしたときにバランスがとれるので、飛距離面でもさらに優位になります。

太さは0.3〜0.4号くらいが良い感じです。0.1など極端に細すぎると糸がみやスプールからの棚落ちが起きます。不意の大物への対応力もベイトの魅力なので、ほどほどの太さから入って調整してみてください。あ、もちろん本線PEの巻き量は最小限にしてくださいね。

またリーダーは5m程度、場合によってはそれ以上長めにとることをオススメします。基本的にショートレンジの釣りになるため、水中に入るラインがほぼリーダーになるようなセッティングです。これで飛距離と耐久性を落とさないまま、好みの操作感をつくることができます。またリーダー自体がシンカー的役割を持つため、極軽量リグの飛距離を助けます。

今後期待される進化としては、高強度かつ細い高比重PEです。2022年現在、ベストなラインはまだ存在しませんが、このあたりが販売されてくると、更にベイトアジングが快適になるでしょう。強度を犠牲にすれば、シンカーアジングなどの高比重ラインや鮎用ラインはなかなかの使い心地でしたので、アジ専用と完全に割り切るならアリです。

2)ややスローかつ収束の早いロッド
スピニングよりキャストのテイクバックで「タメ」が必要なので、しなやかに曲がるアクションの竿が求められます。これは今でもベイトリールが確実にスピニングに劣る1点、ドラグ性能の補助にもなります。PEラインのクッションとしても機能します。しかしただ柔軟なだけでなく、バックラッシュの要因となるティップのブレを抑え、感度や操作性を活かす張りも必要です。このあたりが両立された竿が、ベイトアジングを気持ちよくする竿といえます。

3)放出抵抗の少ないガイドセッティング
前述のロッド特性を出すにあたり、極端にガイドを小径軽量化する必要はありません。むしろ少し大きめで糸抜けがよく、竿を曲げてくれる重量が必要です。ビルダーとしてはスピニングロッドでしたらトルザイトの3番を使いたくなるところ、ベイトであれば3.5や4を使います。また重量を敢えて求める意味もあり、ラインに角度がつきやすい箇所ではトルザイトよりSiCを選択します。さらに、ラインの竿への張り付きを抑えながら操作性を向上させるスパイラルセッティングが理想です。今は放出抵抗の少ないスパイラルセッティングも出てきていますので、ベイトアジングには向いています。


4)超ショートハンドル
ベイトリールはスピニングに比べて巻取力が強いのが一般的です。しかしこの要素はアジングにとっては不要です。なので不要な部分はデチューンしましょう。ハンドル幅は可能な限り小さくし、軽量化も図ります。そうすることで、巻取時の感度向上、タックル全体の軽量化と左右重心バランスの改善、さらなる慣性モーメントの低減に繋がります。
こちらはそのために自作したチタン製シングルハンドル。この軽さならシングルハンドルでもクラッチ返りなどのトラブルはありません。

ベイトアジングショートハンドル
ちなみにこのコンセプトを市販クオリティにしたハンドルがクリアブルーから出るとか出ないとか…(笑)

このあたりを押さえたタックルですと、現時点でも非常に快適なアジングが楽しめるでしょう。(といいつつ、適した竿はまだ本当に少ない…。)

Crystar63BF-Premier

インプレがご覧になりたかった読者の方、大変おまたせしました。BFプレミアについてです。

クリスター63BFプレミア 製品ページ

前項のベイトアジングに向いた竿、特に漁港のジグ単ゲームを想定したときの市販ベストロッドは、同社のBFマスターだと思います。必要な要素が妥協なく全て最高品質で詰まっています。値段も最高ですが(笑)、それだけの価値がある竿だと思います。

そんな偉大な先輩BFマスターがある上で、BFプレミアの存在。この竿を使ってみた感想としては、「BFマスター以上に特異的かつ夢が詰まった竿」だと感じました。

構造的な最大の特徴は、バット部で急激に拡径されたブランクです。これによりリールシート等のパーツはブランクに直接マウントされます。感度を求める上で理想的な構造です。そしてなんとこのブランク、最新最高のカーボン繊維であるM40Xをティップからバットまで使ったフルチューブラーです。先径わずか1mmの極細チューブラーティップ、バットからベリーまでは製造元のオリムピックお得意の4軸補強。バットの拡径構造をふまえると確実に専用マンドレルでしょう。個人ビルダーのはしくれとしては、こんな「ぼくがかんがえたさいきょうのぶらんく」みたいなものを世に出せることが羨ましくて仕方ありません。夢が詰まっている、という言葉の意味の1つ目はこれです。

63BFプレミア
急激なブランク径の変化が特徴的
63BFプレミア
この細さで40tメインのチューブラーというんだから恐るべし


ガイドセッティングはバット部でストンと落とす急旋回スパイラルです。糸抜け大丈夫?と思われるかもしれませんが、すこぶる良いです。リング材質はスパイラル部のみSiCで、トップは3.5。個人的には4まで大きくしたいですが、アジングロッドとしてはこのへんが落とし所なのでしょう。


では使用インプレです。まず感度ですが、突き抜ける感度と謳われる通り非常に素晴らしい反響が得られます。構造的に素性は間違いのない竿ですが、感度はそれだけで向上するものではありません。反響を強く、長く起こすためにはロッド全体の細かなデザインが必要でそのあたりもBFプレミアは抜かりありません。グリップ長などにそのあたりは反映されており、さすがオリムピックといった感じです。

竿としてはいわゆるパッツン系の張りに、ベイトジグ単キャストが成立するギリギリのしなやかさと素材特有のパワーを与えたテイストです。なので0.5g級のキャストについては、竿の長さとリール性能に頼る部分が出てきてしまいます。(BFマスターのような専用竿に気持ちよさで劣るというだけで、十分な飛距離が出ます。)
ティップももたれて重みを感じるようなタイプではありません。しかし投げてしまえば、そのリグの存在感や潮流を反響だけで感じてしまえるという異次元さです。この感覚はBFプレミアにしかないものです。

なおグリップが長めなので、有効レングスはアジ用スピニングの6ftクラスと同等だと思っていいでしょう。そんなに長い竿ではなく、基本的には操作性重視です。

63BFプレミア
こんなの投げられます。そして感じます。

そしてパワーですが、どれくらいあるかというと、10gのメタルジグを余裕でフルキャストできます…。投げた瞬間、なんだこの竿は?!と心の中で叫びました。およそライト〜ミドルゲームで投げたいリグは全て投げられると思ってよいです。もちろんアジングロッドです。でもこの竿があれば何でも釣れる。しかも最高の感度で。そう思わせてくれる竿です。このあたりが、夢が詰まっているという言葉の意味の2つ目です。
というわけでテストは五目釣りで行いました。

63BFプレミア
いやぁ、この竿バスにホントいいんですよ(笑)
63BFプレミア
源流にも持ち込みました。ダメです。でもトゥイッチしやすいし長尺が活きる場面があります。
63BFプレミア
スモールプラグの操作感もOK。50cm程度のセイゴは瞬殺です。
63BFプレミア
ベストではないものの、メバルもよし。
63BFプレミア
ライトロックはドンピシャです!
63BFプレミア
一応アジも釣りましたよ・・・。豆もちゃんと掛かります。
テストの聖地(?)ドリームレイクにて。極端なテーパーなのに美しい曲がりですよね。ベリーも強いですが、負荷をかけるとちゃんと曲がるのはやはりベイトロッドだなぁと。

私の腕の問題でデカい魚はあまり掛けられていませんが、おそらくランカーバスとか年無しチヌとかフッコとかも余裕です。なのに豆アジをピシッと掛けても面白い。不思議な竿です。パッツン系のベイトアジングロッドという希少種なのに、驚くほどの汎用性を備えています。

ではBFプレミアの特性を最も活かせるのはどんな釣りか。ここをどう捉えるかで竿の評価も変わってくると思います。

1つは潮が早く、ディープ寄りのジグ単ゲーム。これをチューブラーロッドでやりたい人には最適だと思います。ボートアジングもチューブラー好みならこの竿がマッチしそうです。

メバリング、特に最近流行のメバルプラッギングにはどうか。これはもちろん人によりますが、もう少しベリーをしなやかにして、もう少し長めにしたいと思う人が多そうです。というかBFプレミアの基本構造のままそんな竿が私はほしいと思いました(笑)まぁやってみたら十分気持ちよくこなせたので、今のままでも向いているといって良いかもしれません。

怒られそうですが、バスのベイトフィネスロッドとして本当に良かったです。軽量ネコリグやダウンショットのシェイクが非常にやりやすく、バスロッドでは感じたことのない感度と十分なパワー。トゥイッチを入れるようなルアーにもよく合います。ライトめのベイトフィネスロッドを探してるバサーの皆様、ここに理想のロッドがあります(笑)

もう1つマッチすると感じるのは、やはり汎用性を活かした五目ロッドとしての使い方です。ショートレンジのライトロックなども気持ち良いので、アジングには少しだけ太めのラインを巻いておき、海に行ったらとりあえずこの竿を振る。何か掛かる。感じる。かわいい。楽しい。何か掛かる。デカい。獲れる。楽しい。これです。実際とても楽しかったです。

漁港でベイトアジングしたいなら、BFマスターが正直オススメです。でもどこかご自分のフィールドで、BFプレミアが合いそうだと感じる場面が思い浮かんだら、そこを起点に色んな釣りに使ってみてください。きっと楽しいはず。BFプレミアはそんな竿です。

ということで長くなりましたが、私が思うベイトアジングについてのよもやま話と、BFプレミアのインプレ記事でした。使ってみて竿に愛着がかなり湧いたのは事実ですが、忖度はなしで書いたつもりです。

そして私はビルダーです。市販品には負けないぞ、と自分なりにベイトアジングを極める非常識かつ合理的なタックルの開発を進めています。乞うご期待(?)