前記事の続きとなります。内容は2026年6月現在の情報をもとに作成しています。今回は長い記事になりますが、日本の釣り業界の数値的な現状、各国のライセンス制度と日本の制度の現状、そして私の個人的な考えや提言をまとめています。
↓前回の記事
現状把握:釣り人口と業界売上の変遷
まず釣り人口について。これは残念ながら自然淘汰的に縮小してしまうことは避けられないと思います。釣り人口を維持・拡大できるほどに天然の魚を増やすのは、釣り業界の規模・予算では難しいでしょう。資源量の時点で無理があるのに、そこに加えて諸問題により釣り禁止エリアを拡大させてしまっている釣り業界の未来は、閉じていくと言わざるを得ません。そして既に、市場の縮小は急速に進んでいます。
釣り人口に関する統計としては、公益財団法人日本生産性本部が発行している「レジャー白書」が存在します。
https://www.jpc-net.jp/research/list/leisure.html
ピークは1996年の2,040万人とのことで、バス第二次ブームと重なります。これによれば、当時日本人の5人に1人が釣りを多少なりとも嗜んだということで、驚くべき数字です。しかしその後は減少の一途をたどり、2021年約560万人、2022年約520万人、2023年約510万人、2024年約540万人という数字が紹介されているようです。
↓一次情報でなくてすいません…本は有料なのでまとめ記事を置いておきます。
https://www.next-catch.com/column/195/
水産庁も釣り人口に関するデータを公表していますが、算定方法によって数字が大きく変わるので比較はできません。いずれにせよ、釣り人口はここ30年で数分の一レベルにまで落ち込んだということです。当時が異常だったとも言えますが、縮小方向なのは間違いありません。
また別の見方もできます。2021年時点では、ゴルフ・登山・スキー・スノーボード・キャンプを抑えてアウトドアレジャー部門人口1位であったのも釣りです。コロナ特需の時期とはいえ、これだけ減ってもまだ釣りが1位。理由は収容力なのか、釣り同様に地域や自然に対する負荷なのか、単純に他の余暇ほど魅力がないからなのか。いずれにせよ、アウトドアの遊び全体が縮小しているといって良いでしょう。
2015年の水産学会誌論文では、レジャー白書をもとに、1998年前後以降に釣りの参加率、参加人口、参加希望率が経年的に減少したと整理されています。注目すべきは、単に釣り人口が減っただけではなく、新規が減っている点です。いわゆる”オワコン化”してきています。
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001206418001792
業界の売上はどうでしょうか。日本釣用品工業会によれば、国内釣用品出荷規模は2019年約1,397億円、2020年約1,547億円、2021年約1,791億円まで伸びた後、2023年約1,491億円、2024年見込1,381億円へ低下しています。2020、2021年の伸びはコロナ特需でしょう。しかし特需は特需でしかなく、新規層は定着せずにまた戻ってしまうという見立てです。一方、1998年時点の国内出荷額も約2,160億円ほどでした。統計方法の検証まではできていませんし、物価の変化もありますが、人口減少に対し売上はそこまで落ちていません。多くのコアなアングラーが感じている通り、客単価を上げることで業界が回っている状態です。先の小塚さんの一連の投稿にあった内容は未来の話ではありません。既に新規にとっては敷居が高く、”本気のアングラー”によって延命されている業界になっているのです。
https://www.jaftma.or.jp/service/images/202502_28kjdch.pdf
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/sentei/fin_bass03/ext05_2-2.pdf
原因は様々考えられます。釣り人口の中でもボリュームが大きかったバスアングラーの引退or他の釣りへの移行、SOLAS条約による港湾施設の利用制限、釣り場トラブルによる釣り禁止場所の増加、単に魚が釣れなくなったこと、景気低迷、そもそもの人口減、他の趣味の充実と手軽さetc. 少なくとも1990年代の感覚で、気軽に出かけて気軽に釣れた遊びではなくなりました。場所を調べ上げ、ルールを調べ、道具を選び、金を使い、移動し、混雑を避け、それでも釣れないことがある趣味になったのです。この記事を読まれる方や私のような”マニア”でない普通の家族が、今の時代に「たまには釣りでもしてみる?」と思っても、よっぽど周辺環境に恵まれてない限り難しいです。そりゃあ部屋でスマホいじってようとなります。
業界の縮小・人口の縮小は、技術革新の停滞、保全活動の停滞、文化や技術の消失、メーカーの倒産、関連産業の衰退、政治的発言力の低下などのリスクを孕んでおり、基本的には歓迎されません。ただ悪い面ばかりでもありません。繰り返しになりますが、資源やフィールドのキャパシティは限られており、それを維持できる範囲でのみ釣りは成立します。魚種ごとのメソッドが開拓・細分化された現代において、魚が釣れなくなってきた界隈、釣り場がなくなってきた界隈はもれなく荒みます。あまり荒まないのは、比較的よく釣れて、釣り場も十分残っているもの(例えば2026年現在ではチニングなど)。または既に荒み切って一部の訓練されたマニアしか残っていないせいで、良くも悪くも注目されずに細々続けられているもの(例えば雷魚など)です。人が減ることで、資源回復速度と釣獲ダメージがつり合い、フィールドで発生する様々な軋轢が減れば、自然とある程度落ち着いた状態に着地する可能性があります。ただ、それはやはり寂しいですし、その過程で多くの技術・文化・サプライヤーが失われます。荒んだまま誰も手を付けることなく回復しないフィールドも出てくるでしょう。それを避け、可能な限り収容力を維持して持続可能な状態をつくるためにはどうしたらよいでしょうか。
制度設計と他国の実情
私の基本的な考えとして、”個人と向き合う時は性善説。集団と向き合う時は性悪説。”というのがあります。個人と話すときにその人を属性などから悪と決めつければ、もはや建設的な議論は成り立たず、またその人が持つ思想や背景に気づけません。SNSでよく”主語がデカい人”がいます。「これだから釣り人は…」、「バスなんて害魚を…」と括られること、その不快感は釣り人なら理解できるでしょう。しかし逆に集団を相手にする時、特にルール設定をするときはどんな集団でも必ず抜け道や悪用を狙う者が出てくると考えます。そうでなくても、「モラル的には良くないけど、まぁルールは守っているから…」という思考は集団全体に蔓延します。集団とはそういうものです。この場合は性悪説で制度を設計しなければなりません。よく”民度”といいますが、先に書いた通り、個人で見た時にはどんな界隈にも民度が高い人と低い人がいます。(比率の差はあるでしょうが…。)しかしそれが仕組みでコントロールできていない時、集団全体の民度として括られてしまいます。ムダに主語がデカい見方はなるべく避けたいですが、「俺は違う!」と言っても、それは世間には理解されないのです。
だからこそ、必要なのは制度設計です。草の根的な啓蒙活動や清掃活動なども非常に大切ですが、状況を変える施策には残念ながらなりにくいのも事実です。民度をコントロールする仕組みを作れるかどうか。そこにかかっていますし、釣り業界はそこができてきませんでした。前述の通り、自助努力で何とかなるフェーズはとうに過ぎています。
解決策として、「ライセンス制度」が提唱されることがあります。私自身も大局的には賛成なのですが、導入されている国の実情を知り、日本における正解を模索しないといけません。既に制度を導入して功罪が見えてきた国、導入しようと議論している国、実態がまったく違う国、様々です。他国の例を少し調べてみました。
※ファクトチェックは行ったつもりですが、もし不足や誤りがあればご指摘くださいm(__)m
◎アメリカ
制度運用の長い歴史をもつのがアメリカです。釣りライセンス料は保全・回復事業に使われるとされ、Sport Fish Restoration Program などを通じて州の資源管理機関に資金が配分されています。更に登録により様々なデータ取得と分析を行っています。ライセンス制度の狙いは、①資源管理費用の徴収、②釣り人の数・属性・釣獲量の把握、③放流・ 生息環境修復・監視・教育への財源化、④違反者への行政処分の入口、⑤釣り人を“管理対象”ではなく“管理参加者”として位置づける仕組み、など多岐にわたっています。
しかし課題も多いようです。NOAA の Marine Recreational Information Program(MRIP) は、全米規模で遊漁の漁獲量・努力量を推定する調査網ですが、基本はサンプリング調査なので商業漁業の水揚げ統計ほど精密・正確ではありません。NOAA自身も、遊漁データは調査に基づく「推定値」として資源評価や管理助言に使うとしています。釣りの実態把握は、資源管理における重要な入口ですが、釣りの場合それは簡単ではないということです。
https://www.fws.gov/initiative/fishing/purchase-fishing-license
https://www.fisheries.noaa.gov/topic/recreational-fishing-data
アメリカの制度の実態について、水産庁の櫻井政和様が寄稿された詳しいレポートもありましたので貼っておきます。
https://furainozasshi.com/asakawa/20150206/
◎英国
英国、正確には England and Wales では、サケ・マス・淡水魚・ウナギなどを竿で釣る場合に Environment Agency の rod fishing licence が必要です。私有地の池でも対象になる点が、日本の感覚とはかなり違います。ライセンス収入は、漁場改善、放流、外来種対策、監視などに再投資されると説明されています。
それでも無法者は残っており、Environment Agency は検査・摘発を継続しています。2024年には、北東部・ヨークシャーで無許可で釣りをした38人が罰金・費用として合計12,000ポンド超を支払った事例が公表されています。ライセンス制があるから違反がなくなるのではなく、取り締まり組織・罰則・現場巡回があるから一定の実効性が出るということです。制度をつくった以上、形骸化させないだけの監視人員・警察連携・ボランティア監視の体系と、それを維持するだけの収入が必要になります。
◎オーストラリア
オーストラリアは国民的レジャーとよべる規模で釣りが親しまれており、州ごとに遊漁ライセンスやルールが整備されています。たとえばニューサウスウェールズ州では、淡水・海水を問わず、同州水域で釣りをする場合は Recreational Fishing Fee の支払いが必要です。収入は Recreational Fishing Trusts に入り、遊漁関連事業へ使われる仕組みです。Feeは釣具店・オンライン・行政窓口で支払うことができ、収入が釣り関連の団体によって運用される仕組みは、釣り人にとって制度への納得感を作りやすいかもしれません。
ただし、オーストラリアでも監視・違反・データ不足は解決できていないようです。西オーストラリア州監査機関は、漁業規制のコンプライアンスリスクを評価していても、それをどう許容水準まで下げるかが明確でない場合があり、商業漁業と遊漁の監視資源配分の根拠も不明確だと指摘しています。またオーストラリアの海洋保護区に関する研究では、遊漁者の行動データが不足しており、保護区内での順守状況を測るには不十分な場合があるとされています。
https://www.dpi.nsw.gov.au/fishing/recreational?utm_source=chatgpt.com
◎ニュージーランド
ニュージーランドは、海面遊漁については基本的にライセンス不要です。一方、湖沼・河川など内水面の釣りにはライセンスが必要です。ニュージーランド政府は「海で釣るのにライセンスは不要だが、淡水釣りには必要」と明記しています。そして海面ではライセンスではなく、地域別のバッグリミット、サイズリミット、禁止区域、漁具制限で管理しています。たとえば Central fishing area では、特定の餌魚や淡水ウナギ等を除き、1人あたり合計20尾までという combined daily bag limit が示されています。
ただしニュージーランドでも、商業漁業・先住民マオリの慣習漁業・遊漁の間で、総漁獲可能量をどう配分するかが問題になっているようです。ニュージーランドのQuota Management Systemは商業漁業管理では有名ですが、遊漁側の取り分や配分方法が明確でないことが問題として指摘されています。商業漁業・遊漁・地域慣習などの資源利用者間でいかに調整するか、というのは難しい課題です。そしてそこを疎かにすると対立が生まれるということです。
https://www.mpi.govt.nz/fishing-aquaculture/recreational-fishing/fishing-rules?
https://www.option4.co.nz/Your_Rights/kerr903.htm
◎台湾
台湾の漁業法系では、遊漁船のライセンスや登録が制度化されており、遊漁船の建造・トン数・港ごとの上限なども規制されています。また基隆嶼の磯釣りでは、18か所の釣り可能岩礁、各地点の最大人数、釣り可能期間、許可、保険、持ち帰り魚の最小サイズ、釣果記録などを定めるローカル規制があるそうです。この全国一律ライセンスではなく、危険性・混雑・資源負荷の高いポイントだけ、予約制・保険・人数制限・釣果記録を入れる方式は、日本も学ぶところが多いと感じます。
https://en.fa.gov.tw/view.php?id=8&subtheme=&theme=Regulations
https://www.mdpi.com/2071-1050/13/14/8111
◎韓国
韓国は、遊漁船の運航・安全管理に重点が置かれてきた面があります。FAOの韓国漁業国別資料では、遊漁分野について、漁業法が禁漁期・区域・最小サイズ等を規制し、Recreational Fishing Boats Operation Act が遊漁船の安全や運航面を管理すると説明されています。韓国の場合、今まさに釣りブームが拡大している最中ということで、資源への影響や沿岸汚染ライセンス制導入に関する議論も起こっています。下記の引用論文では、2000年代ごろに政府が釣りライセンス制度を導入しようとしたものの、釣り人や関連産業などの反対で停滞したとされています。とりあえず取り組みやすい遊漁船対象の制度はいったん設けたものの、遊漁全体への取り組みには反対も多いようで、制度が追い付いていない状態です。なので、これは今後日本が通りうる道ともいえます。
https://www.fao.org/fishery/docs/DOCUMENT/fcp/en/FI_CP_KR.pdf
https://www.mdpi.com/2073-4441/17/5/632
◎ドイツ
ドイツの釣り制度は、日本でよく語られる「欧米型ライセンス」の中でも、かなり厳格な部類です。基本構造は、一般的な釣り資格である Fischereischein と、個別水域の利用許可である Gewässerschein/Angelkarte の二段階です。
まず釣りをするには原則として有効な釣り免許が必要です。ドイツ連邦ポータルでも、釣りをする場合は有効な fishing license を取得し、釣行時には身分証や釣り料金支払い証明とともに携帯・提示する必要があると説明されています。バイエルン州の案内では、釣り免許は「釣りを許可されるための前提となる生涯の資格証明」とされ、通常は釣り試験への合格が必要です。
次に、その免許だけでは多くの水域で釣りはできません。ヘッセン州の行政案内では、有効な釣り免許に加え、その水域の漁業権者または賃借者からの釣り許可が必要だと説明されています。つまり、ドイツでは「釣り人としての資格」と「その場所で釣る権利」が分離されています。
試験・講習の内容は州により差がありますが、バイエルン州の公式案内では、釣り試験を受けるにはオンライン試験への登録、試験料の支払い、準備講習への参加が必要とされ、受験者は試験日に12歳以上であることが条件とされています。12歳未満が釣りをしたい場合、有資格の大人と一緒に行き、魚の処理も任せる必要があります。7歳未満はそれも認められません。
ドイツ制度の特徴は、単なる資源管理ではなく、動物福祉・自然保護・水域利用秩序が結びついている点です。たとえばブランデンブルク州の英語版案内では、魚は動物福祉基準に従って扱う必要があり、痛み・苦痛・損傷を避けること、掛かった魚は速やかかつ慎重に取り込むこと、保持する魚は上陸後すぐに殺すか適切に保持することなどが説明されています。リリースは、サイズ不足・禁漁対象など正当な理由がある場合に限られる趣旨です。
そのためドイツの制度は、日本や米国のバス・トラウト文化で一般的な「スポーツフィッシングとしてのキャッチ&リリース」と相性が悪いようです。2024年の Geoforum 論文要旨では、ドイツの多くの州では自発的なキャッチ&リリースが公式規則と衝突するとされ、釣り人側の実践と法制度の間に緊張があると整理されています。
素晴らしい事例として紹介されることが多く、国民性も似ているとされるため期待も大きいドイツ制度ですが、日本の実態を考えるとそのまま当てはめるのは難しく感じます。ただ、試験制度は興味深く、学ぶべきところもあります。
https://verwaltungsportal.hessen.de/en/leistung?leistung_id=L100001_8967474
https://mleuv.brandenburg.de/sixcms/media.php/9/Angelfischerei_in_Brandenburg_englisch.pdf
以上をまとめるとこんな感じです。
| 地域 | 基本設計 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| 米国 | ライセンス+調査統計+州管理 | 財源、データ基盤、州別管理 | 推定誤差、地域差、釣り人不信 |
| 英国 | 淡水ライセンス+強い監視 | 収入再投資、摘発、制度明瞭 | 無許可釣りは残る、海面とは別問題 |
| EU諸国 | 国別・地域別管理 | 一部で資源評価へ統合 | 制度分散、海面遊漁データ不足 |
| 豪州 | 州別ライセンス+信託財源 | 資金還元が見えやすい | 違反、監視資源不足、州差 |
| ニュージーランド | 海は無免許、淡水は免許 | 海釣りの入口が広い、地域別制限 | 商業・遊漁・慣習漁業の配分対立 |
| 台湾 | 場所・船・危険海域の局所管理 | 磯・遊漁船・混雑地に向く | 全国的資源管理とは別課題 |
| 韓国 | 遊漁船・安全・運航管理寄り | 事業者管理しやすい | 岸釣り全体の資源管理は難しい |
| ドイツ | 試験・講習による免許取得+水域別許認可 動物愛護・自然保護寄り | 試験による釣り人の質担保、良い意味で敷居が高い、資源管理しやすい | 悪い意味で敷居が高い、子どもへの制限、C&Rと相性が悪い |
ライセンスは目的ではなく手段・日本にも既に制度はある
結局のところ、ライセンス制度はお金と手続きというハードルで選民を行うためというより、監視や維持管理を前提とした資金源をつくることが大事だと私は考えます。逆にそれができれば、多少のド阿呆は残ったとしても持続可能な状態を作り得ます。何をするにも金は大事。ましてや自然の維持管理なんてものは莫大な金がかかります。制度は手段であり、目的ではありません。ライセンス制にするべき!といっても、何を狙いにしているかで意味合いは異なります。
また、「262の法則」という経済学の法則(概念)があります。“どのような組織・集団も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる”という概念です。この概念は、例えば下の2割を切り捨てたとしても、残った集団で再び262が形成されてしまうという見方が特徴です。これを釣り業界に当てはめると、残酷な現実がつきつけられます。いくら啓蒙を行なっても、底上げにはなれど、集団にとって問題となる輩はゼロにならないことを示します。海外の事例は、それが釣りの世界にも当てはまってしまうことを証明しています。また逆に、集団全てが関わらなくても、一部の優れた取組や一部が創った方針が全体を牽引できるということです。先の性善説性悪説の話にも繋がります。グダグダと書きましたが、要はどんな狙いでどんな制度にするかが大事であるということです。
では現実の日本はどうか。実はライセンス制に代わる制度が昔からあります。内水面では遊漁券制度、海洋では都道府県単位の漁業調整規則、魚種別の体長制限、禁漁期間、禁止区域、漁具・漁法制限、漁業権などです。もともと日本の釣りも制度的に自由にできるものではありません。
河川・湖沼では、内水面漁協が第5種共同漁業権を付与され、アユ・コイなど対象魚種について増殖義務を負い、遊漁規則に基づいて遊漁料・遊漁承認証・期間などを定めています。(この増殖義務が厄介でもありますが…)
つまり淡水については、欧米型ライセンスに近い制度が、国ではなく漁協単位かつ一部の魚種単位で分散的に存在しているわけです。
海面・沿岸の釣り制度について、日本の場合は前述のような商業漁業向けの制度をベースにしています。日本の海はどうしても沿岸漁業者の活動場所と釣りフィールドが重なります。防波堤、磯、港湾、沿岸小型船、遊漁船、漁業権漁場が狭い空間に密集します。欧米のように「レクリエーション漁業」と「商業漁業」を明確に分けて扱う設計は難しく、漁業権・港湾管理・自治体管理・漁協慣習との摩擦が大きくなります。いちおう日本釣振興会はありますが、サプライヤー側の業界団体ですので、純粋に遊漁者の窓口になり、遊漁者のために動く組織は存在していないことになります。
つまり、既に一定の制度は存在するもののそれらが遊漁者全体をカバーできておらず、また資源管理の仕組みも存在せず機能していない、という状態です。内水面は対象魚種についての増殖義務によって、一応放流による資源増加は行われます。(その是非はさておき…。)しかし日本の釣りスタイルは多岐にわたります。内水面だけでも、渓流、鮎、ヘラ、ブラックバス、タナゴ、小物釣り、鯉、リバーシーバスetc. 海面も含めれば、アジング、メバリング、シーバス、エギング、チニング、ショアジギ、磯、船、親子のサビキまで…。資源負荷も社会的リスクも、ジャンルや地域によってまるで違います。それらについて、一律のルールで資金を集め、釣り人にとっても一般人にとっても納得いくような監視・資源管理を行い、維持していくというのは途方もない作業です。そもそも国や自治体がライセンス料を徴収してしまうと、税金と違って会計的に運用が難しくなります。これはアメリカと事情が違う点です。かといって業界団体が勝手に行うわけにもいかず、もしやってしまうと漁業権と整合性が取れなくなります。人口も市場も減り、政治的発言力も組織力も乏しいこの業界が解決する問題としてはあまりにもハードルが高く思えます。
監視・資源管理の制度設計がなく、機能もしてこなかった日本。ただこれは、決して他国と比較して特別酷いわけではないように思います。”民度”という意味では、日本人は決して低くありません。比較してみたら、制度が甘い中でよくこれだけ維持できてきたと言って良いはずです。生物多様性が幾分か失われ、生物自体も減った場所があるとはいえ、公害や不法投棄により死の川と化した場所はほとんどありません。アジア諸国に行けばそんな場所だらけです。前述したどの国よりも人口が密集した、狭い島国のフィールドでよくぞここまで。日本人の精神性と、日本の自然の豊かさに敬意を表すべきでしょう。そして、釣りが縮小・ローカル化・細分化した今こそ、世代交代と近代化によって、制度設計の課題をクリアできる可能性はあると感じます。
※日本における制度の歴史や現状について、前述の櫻井様がまとめておられる資料がweb閲覧可能で貴重なものとなっております。こちらを見て頂くとより詳しく理解が進みます。
https://gyokei.sakura.ne.jp/dp/Vol9/No2.pdf
小さく、実情に即した、経済的仕組みの好例をつくる
これらを踏まえた上で、日本では政治的な一律のライセンス制度よりも、流域・水系・釣り場単位でお金を釣り人から徴収し、それを管理に回せる経済的な仕組みを構築する方が実情に合わせやすいと思います。それも、漁協のような既存の仕組みに融和させながらです。政治で勝つのは難しい。でも、お金になっていれば解決することは多いのです。やり方は様々考えられますが、いずれにしても下手に法制化せず場所ごとに運用し、他所の好例も取り入れながら試行錯誤していく方式です。これは狭い島国、そしてベテランの引退に伴って少なくなっていく釣り人口、比較的高い民度、があるからこそ実現し得るものです。例えば、
1)漁港・堤防・遊漁船など小単位ごとの料金徴収とバッグリミット(集金は日あたり、時間あたり、重量あたり、駐車場徴収など適したもので)を設定。漁協がある場所は漁協が運営母体。徴収やルール説明、釣果登録、離脱報告などをアプリによって行い、徴収した費用によって行った資源・釣り場管理活動の成果もアプリから報告。来場者数・釣獲データなどは日本釣振興会や水産庁などと共有し、研究に役立てる。どの程度管理を行えるかは、場所や実態に合わせてでよい。小規模少額地域なら”ショバ代”として徴収するだけでもよい。料金改定なども管理者単位で原則自由。理想は魚種限定なしのルール設定だが、漁業権との兼ね合いで適宜調整。
2)1)の内水面版。流域ごと・湖沼ごとの設定。既に遊漁券は一部アプリ化が進んでおり、各魚種について同様に進める。
3)いわゆる管理釣り場の方向。入場料・持ち帰り料金として徴収し、運営費とする。ゲーム性・レジャー性を重視した釣り人の受け皿として啓蒙する。特にブラックバスについては、完全閉鎖水域運営かつ認定を受けた管理釣り場業者にのみ、天然フィールドからの持ち込みを許可し、駆除魚を回収・買取できるよう行政と交渉を行う。(営利型ゾーニング)
4)業界団体主導により、釣り具にかける環境フィーの本格化。及び資源管理への資金運用。
5)あえて何もしない釣り場。地域単位で問題になっていない「近所の川遊び」レベルで、かつ法律範囲内ならそのまま続ければよい。
1)のような仕組みで解放された堤防は既にいくつか存在し、既存の漁業権との兼ね合いや施設管理など課題もあるものの、学ぶことが多い例となっています。北海道苫小牧港東港の通称「一本防波堤」は、2022年に開放を実現しました。なおこの働きかけは日本釣振興会他軌道支部が主導し、初期設備は日本釣振興会が拠出しているそうです。十分とは言えないものの、業界も何もしていないわけではないんですよね。私は新潟に住んでいたころ、ハッピーフィッシングさんでショアジギングを行っていました。SOLAS条約による立入禁止の例外を適用し、NPOで管理する堤防釣り場です。地磯に行く時間と根性はありませんでしたし、お金さえ払えば安心して大手をふるって釣りができる環境はとても有難かったです。
これまでは運用コストと実際の維持管理のノウハウやスタッフが課題だったと思います。しかし運用コストとノウハウ問題については、アプリ導入で大幅に解消でき、横展開もしやすくなります。スタッフが置けない環境でも、現地に防犯カメラ付き立て看板を設置し、QRコードを読んでログインし、支払えばよいです。釣果報告やゴミゼロ活動に対するポイント制度と何らかの還元も良いでしょう。管理業務は資源管理までいかなくても、徴収料金を下げて定期的なごみ拾い程度の管理にしても良いでしょう。アプリの通年履歴で、来場者が多いにもかかわらず釣果が下がっていたら、そのときはしばらく釣り場を休ませる、そういった運用もできます。そんな程度では課題は解決しないのでは?と思われるかもしれませんが、少なくとも管理者や地域が釣り人に対し我慢or禁止の2択を迫られる状況は解消します。ぶっちゃけ、多少利権化しても構わないと思います。釣り人に”使わせてやっている”わけですから。利権化といっても、あまりに高く、あまりに無管理であれば、市場原理により釣り人も来なくなるのでいずれ落ち着きます。今までタダだったのに余計なことを!という釣り人がいたら、申し訳ないですが貴方の居場所は今後日本にはなくなっていきます。あえて言えば”世代交代”です。また、多少のド阿呆は前述の通りどんな仕組みであっても、どんなに市場が小さくても存在しますので、そういった輩を検挙できる制度と資金がある方が幾分かマシです。監視カメラ付看板があれば、後ほど不法侵入・不法行為で通報できますので一定の抑止力を設けることができます。オンライン常時監視や、不法侵入自動判別&通知もアプリで組めるでしょう。2)についても同様で、やろうと思えば駐車場が確保できる溜め池レベルでも導入できます。むしろ施設所有者であれば、内水面は漁業権関係なくある程度自由に徴収・管理可能です。FISHPASSさん、やりませんかね?
なおこの方向は、おそらく水産庁と考える未来図と親和性があります。水産庁としては遊漁も資源管理において無視できないものとして、商業漁業と同じ括りで管理していこうという舵を切りつつあります。採捕状況のデータ収集と管理方法の検討を、遊漁も巻き込んで行いたいと考えています。またその過程において、AIやアプリ利用も推奨しています。釣り人側の立場でいえば、ここで水産庁が規制・管理方向に動く前に先んじて仕組みを構築したり、好例をつくったりしないと、不利な条件で着地させられる可能性があります。有利に進めたいなら、もう時間はないのです。(まぁ、環境のことを考えたら不利な条件でもいいかもしれませんが。)
3)については現在の管理釣り場の厳しい運営を考えれば、より業界的な啓蒙が必要でしょう。ただ、今より天然フィールドで釣れなくなれば徐々に集まってくるとも思います。釣りのゲーム性やレジャー性に価値を置けば、管釣りは良いフィールドです。ブラックバスに関しては法整備も関わってきますし、ロビー活動の重要性と難易度も低くはありません。しかしこれは個人的な意見ですが、本当に外来魚を撲滅あるいはコントロール下に置きたいとすれば、皮肉なことにバスアングラーの力が必要です。外来種駆除は、在来種保全に比べればマシですが基本的にお金になりません。お金になるのは一部の研究目的、一部の行政による買取くらいで、これらも行政が少ない総予算を振り絞って行うしかなく、特に誰かが儲かることもありません。パフォーマンス的な駆除釣り大会や単発の池干し大会などはインフルエンサーの利益にはなるかもしれませんが…。本当に生物多様性の回復を目指すなら、その後の環境整備、在来種保護などの継続的な活動がセットで必要になり、それこそ簡単にお金は捻出できません。お金だけでなく、従事者も足りません。撲滅ないし採取圧をかけ続けられるほどバスを駆除して回る気のある人がどれだけいるでしょうか。それだけの金銭的人的コストを捻出し、継続的に運用するには、バスアングラーをも巻き込んだシステムを構築するのが次善だと考えます。生態系を壊してなおも自浄作用のないバス界隈はどう責任を取るつもりだ?と言われるのであれば、金と自慢の釣獲能力で責任を取りましょう。魚の買取先ができ、多少なりとも儲かる。アングラーも駆除地でバスを殺さずに済み、また管理釣り場でも堂々とバス釣りができる。それならばと協力できる。このような循環が必要だと思います。無論、アングラーの漁獲だけでは追い付きませんし、個人アングラーが釣った魚の回収方法の問題(法的に個人の移送を許可することは出来ないし、許可すべきではないので、生体回収ボックスを設けたり釣り大会でのみ回収したりするしかない。)もあるので、駆除漁の漁獲買取が主体になることは言うまでもありません。駆除漁を継続的なものにするのための資金源にバスアングラーがなるというのが設計の狙いです。
※なお河川のスモールマウスバスについては、まだ定着前かつ拡散段階のところも多く、可能な限り早く予算を使った駆除を進めるしかないと思います。これについては業界団体も全面的に協力すべきだと考えます。その他、バス以外の特定外来生物などに一つ一つ言及すると議論が煩雑になるので一旦省きます。
この提案で予想される反発・懸念としては、①バスアングラーにとってより釣りがしやすくなるばかりか不法移送の口実を与えるだけでは?、②こんなやり方で根絶は不可能では?、③バス及びバスアングラーなどというクズ集団に情けなど不要、といったものかと思います。生物多様性の原理主義的な考えで言えば、閉鎖水域でもブラックバスが日本にいるのを認めることは耐えがたいかもしれません。閉鎖水域であっても、そこにバスがいれば密放流リスクは避けられないと言われるかもしれません。しかし、原理主義に基づいたときに現実問題としてどうやって根絶を成し遂げるのかが疑問です。繰り返しになりますが、この案は次善の案であり、また正直なところ根絶は狙っていません。クズと言われるのは甘んじて受け入れるべきですが、では誰が駆除をするのでしょうか。おそらく過激な叩き方をする人の多くは直接環境整備に携わらない人たちです。誰かがやらなければ駆除はできない。そして駆除は目的ではなく手段の1つである。それを踏まえたら、バスアングラーをある意味利用しながら採取圧を継続的に高めていくことが現実的、合理的だという考えなのです。過去に遡って全てのバスアングラーを犯罪者として罰金でも課せば、バスアングラーの根絶と駆除資金確保はできるかもしれませんが、それはさすがにやり過ぎだし不可能でしょう。今後の移民増加等の流れを考えると、バスに限らず釣り場のルールを浸透させ管理することは今後さらに難しくなると予想されます。釣り人の根絶は、資金的にも運用的にもよい選択肢とは考えられません。
小規模な閉鎖水域であれば特定魚種の根絶は不可能ではありませんが、大規模湖沼や流域では実質不可能です。採取圧を継続的にかけて勢力を抑えること、他の環境整備を並行して在来生物の勢力を回復させ続けること、この両輪サイクルを回す仕組みが必要だからこその提案であり、情けからではないのです。
生物多様性保全においても、非人為的な現生自然を取り戻すことを理想とする層や、人類に有益かつ他への影響が最低限であれば許容すべきと考える層、単に自分の原風景や好きな生物に注目する層など、様々な立場があります。私はブラックバスも含めてすべてが善悪で二元化できるものではなく、バランスと程度を考えて調整されるべきものだと考えています。現実を受け止めて、現実的な着地点を模索しなければ仕方ないのです。希少在来生物が危機的な水域では強行的な駆除も必要でしょうし、もともと魚も水生生物もいない人工池で膨大な手間とコストをかけてまで駆除を優先すべきとは思えません。じゃあ人工池だけどたまたま定着した希少種がいたら?こういった水域特有の事情に一律の施策を与えるのは難しいです。そして、結局は経済的な持続性がなければ目的は達成されず一時の自己満足で終わります。逆に経済的に利益が大きく、それが仕組みになってしまえば、正義も簡単に覆ります。釣り人も、生物界隈も、行政も、メーカーも、みな喧嘩している場合ではありません。共感はできなくとも、理解と対話は諦めてはいけない。心からそう思います。
少し脱線しました。4)は、現在も部分的には日本釣振興会の環境・美化マークなどで行われています。Gautra Worksも釣りフェス出展の際にわずかながら購入しました。が、より拡大が必要です。思い切って製品価格の数~10%程度とって良いと思います。特にルアーなんて、ある程度のロストを前提とした存在です。今や法整備よりも取り組みやすく、確実に釣り関連団体主導で運用できる貴重な金策といえるでしょう。
https://www.jaftma.or.jp/application/mark
ここまで書いた提言は、どれも社会全体のコンセンサスを取る必要がなく、自力で取り組めるもののはずです。新たな業界団体の設立も不要です。政治力も、業界内か地域単位かで十分です。もちろん反対意見や実際の苦悩はあると思いますが、踏み出さない場合は緩やかな衰退を受け入れるしかありません。自分もこうやって整理して、微力ながらやれることはあると感じてきています。
最後に5)は、すべてを管理することは日本では不可能に近く、またその必要もないということです。地元の小中学生が自転車をこいで糸を垂れるだけの釣り場。こういったものはむしろ次世代のために縛りなく残していきたいものです。
次世代のためにやれること
小塚さんの投稿に話を戻すと、あれは決して次世代に釣りを残さないという意味ではないはずです。むしろ細々であっても、釣り場、釣りの伝承、”小さな冒険”の術は残していく責務があります。でなければ本当に日本の釣りは消失します。今の世代は、端末に触るだけで多くの刺激や知識を得られます。その刺激に対し、釣りはわざわざ釣り場に出向いて、自分の頭と体で、自分のために用意されたわけではないむき出しの”生”と対峙する。そしてたどり着いた一匹の魚に震える。今だからこそ、そんなリアル体験に価値がありますし、それを今の時代に合わせた入口と伝え方で残しておきたいです。ここまで釣り人口・釣り業界に悲観的なことを書いてきましたが、仮に釣り人口が現在の1/10になったとしても、それでも50万人はいます。一つの界隈として立派なものです。メーカーの売上が必要であれば、釣りがブーム化してきているアジア圏など海外で勝負することもできます。実際、今現在は総売上としては好調な大手メーカーもあります。前向きに、次の世代に向けてできることを考えて〆ましょう。
◎子どもは無料に
上に書いた経済的な提案について、18歳以下は無料にしましょう。(4はやむをえませんが、どうせ親のお金でしょう。)なるべく縛られず、楽しんでもらえばいい。責任や負担を負うのは、大人になってから子どものためにすればいい。私たちがそうしてきたように。
◎釣具店で業界団体に無料加盟できる制度をつくる(これは大人も無料) →文化伝承のサポートとイケてるオトナ
これは大人も含めて全釣り人に推奨(ただし任意)するものです。QRコードから登録して、前述の1)や2)のアプリ利用や有料釣り場・管理釣り場の紹介などをします。ポータルサイト的な進化を果たせるとより良いでしょう。年齢を問わず、すぐに無料で参加できるようにすることで、資源利用状況の把握を促進し、裾野も広げます。
ただしそれだけでなく、昔は近所のおっちゃんに教えてもらったような、糸の結び方、糸の巻き方、針の外し方、錘の号数、魚の体のしくみ、活かし方、締め方、釣りすぎないこと、資源マネジメントの大切さ…。そんなキホンのキをチュートリアルで動画配信します。それも楽しそうに、カッコよく。釣り文化の伝承は、人口減・フィールド減によって今までのようにいかなくなります。それを現代的な方法で補います。ただし細かなメソッドなどは不要です。文化といっても旧来の価値観の押し付けや、子どもの感性を縛り付けることはしない方がいい。自分で釣り場で試行錯誤してもらいましょう。ここで有名アングラーにも出演してもらいます。個人的には、敬称略でミラクルジム氏(あの格好と口調で!)、今江克隆氏、田辺哲男氏、村岡昌憲氏、児島玲子氏といった我々世代が喜ぶレジェンドから、伊藤巧氏、川村光大郎氏、秋丸美帆氏、石川文菜氏など、やや若い世代の人たちまで出てほしいです。小塚さんは…出ない方がいいかも(笑)勝手に著名な方のお名前を挙げて恐縮ですが、他にも適役はたくさんいらっしゃるでしょう。それを見て子どもと一緒にワクワクしながら、「パパそれじゃダメだよ〜」などと怒られながら、家族で釣りに行ってみましょう。日本釣振興会さん、農薬を槍玉にする動画より、そういうのが必要じゃないですか?あるいはつり人社さん、いかがですか?
お前は何をする? 自作釣り具・進化した原点回帰へ
偉そうなことばかり書き殴ってきましたが、すべては行動しなければ意味がありません。実行することの過酷さも少しは理解しているつもりです。既に何かしら行動している皆様には頭が上がりません。書いたからには私も、残りの人生で少しくらい貢献するつもりです。そしてもしこの記事に何か使える部分があれば、どんどん使ってください。
また、ライフワークである釣り竿製作からもアプローチできることはあります。今後、残念ながら今以上に釣り市場が縮小し、新製品や新技術どころか釣り具の供給も満足にいかないような日本が来たら…。そんな時、釣り具の自作は改めて見直されると考えています。手に入らなければ自分で創る。できることは自分でやる。それは狩猟の原点です。新製品や最先端技術が使えなければ釣りはつまらないか?明確にNoです。知恵を働かせ、そのときできる最大限の工夫をもって魚と向き合うから、釣りは楽しいのです。そういう価値観でない方もいらっしゃるでしょうが、少なくとも釣りの面白さの大部分は失われないと思います。そして単に原始的な釣りに戻るわけではなく、積み重ねられてきたノウハウはそこにあります。今後5年以内に、本格的にバンブーロッド及び限りなく天然素材・手加工による釣り竿製作、そしてルアーなどの竿以外のタックル製作を始める計画です。どんな時代でも、どんな環境でも、ワクワクできる釣りの世界に。本当に微力ですが、そんな事を考えています。
あとがき:戦犯は私?魚目線で考えると?〇〇ングではなく”魚釣り”を
現時点では以上です。不勉強な戯言になっている部分もあるかもしれません。書いた以上、批判も承知しておりますので、遠慮なくご連絡下さい。とはいえ、できれば建設的な意見交換やお誘いを望みます。
最後に、あとがきとしておまけの話。ただの雑感です。
当記事をシェアしたあと、小塚さんからリアクションを頂きました。面白かったのが、私のことを「テレスコロッドブーム最大の抑止力(魚感)」と表現されていたことです。さすが、よくわかっておられますね(笑)そう、私がテレスコロッドを研究し、レベルアップと発信を続けると、メーカー的にはテレスコが出しにくくなるんです。おそらく。私の竿は、個人製作を前提とした突き抜け方をしています。それありきで発信されたら、量産メーカーはたまったもんじゃないでしょう。でも、量産を想定した設計・工法は私も研究しておりますし、本当に需要があればメーカーなら壁を越えてくると思っています。満足のいく量産品が普及したら、テレスコはやめて別のことをします。なので頑張ってほしいです。私はリアクションに対し、「はい、近所の愛すべき雑魚たちの敵、メーカーにとっての厄介者が私です(笑)。」と返しました。戦犯であり、それを自覚もしております。で、この皮肉めいた会話に込めた裏のメッセージがお互いにあります。
小塚さんは、この度の一連のやり取り(炎上?)で自身のことを「陸生魚類」と表現していました。釣り人でありながら、釣具メーカーでありながら、魚の目線で釣り業界に物申すという試みをしていたのです。テレスコを流行らせないでくれてありがとうby魚 というわけです。多くの釣り人は、本能的に魚を下に見ています。リスペクトはあったとしても、基本的には安全圏から騙して狩る側です。小塚さんは可能な限り魚と対等であることを望み、時には自分を危険に晒したり、敢えて難易度を大きく上げたりする人です。そして対等から同族化まで段階を更に上げ、釣り人が聞こえなかった、聞こうとしなかった魚の声として、釣り人や業界の痛いところをつく。自身をも否定しうる危険地帯に身を投じながら。これ以上皮肉の効いた問題提起はないでしょう。まぁそんなの初見の人には伝わらないので、品格なし・常識なし・お前が言うな、と燃えるのも当然です。そんな様子を本音では少し楽しみつつ、興味深く拝見しました。(解釈違いだったら恥ずかしいw)
私の方は、超小継テレスコにより”近所の雑魚の敵”でありつつ、魚種や釣法を型にハメた釣りとは違うものを提案していきたいと思っています。釣りの細分化によって、〇〇ングという言葉は日々増殖していっております。別にそれ自体を否定はしませんし、説明では便利なのでよく使います。ただ、ここまで書いてきたような仕組みづくりにおいて、本当は魚種や釣法を指定したくないんです。現行の漁協による増殖義務は、特定の魚種について、基本的には放流による資源管理を行うものです。実質的に管理釣り場です。天然の環境を用いた管理釣り場で、数種に限定してキャパを超えた量を投入し続ける、かなり不自然な維持のしかたです。このようなやり方が在来生物や流域固有の遺伝子系統に与える影響や、卵や稚魚の混入による想定外の外来種拡散などはすでに相当の研究がなされています。第一、不自然です。(何を自然というかの議論は置いておいて。)ようやく他の方法による環境整備も取り入れる方向になってきているようですが、この部分は内水面におけるボトルネックの1つです。
商業漁業対象以外の遊漁対象魚であれば、あまりその種にのみ注目して管理しようとするのではなく環境全体を見渡したいものです。なので前述の”好例づくり”では、ショバ代で十分と書きました。アカデミックな研究や対策検討のためにデータを収集したり、状況次第で場全体を休めたりするのは良いですが、増殖義務に当てはめて特定の魚種だけ無理に増やすのはやめたほうがいいと思います。なので釣り場管理ができて最低限の情報収集ができれば、十分プラスの状態だと考えているのです。
私が思う釣りとは、そこにいる魚にどう向き合うか、という思考と営みです。ここは何がいるんだろう?今は何が釣れるんだろう?どうやったら出会えるだろう?そういった事を目の前のフィールドで考え行うことです。だから魚種を指定する必要はありません。もちろん〇〇を釣りたい!と探しに行くことはありますが、〇〇ングをしたいという欲求はあまりありません。〇〇ングという型は、数多ある試行の1つでしかなく、「お、鯉がノッコミしてるな?」「今だったらタケノコメバルが入ってきてる?」「この川、ナマズがいそうだな。」「あのライズは誰だ?」とその時その場を楽しみます。型にハメることでわかりやすくなったり、練習できたり、競い合えたり、年間を通して追えたり、それはそれで良いことも多いです。それぞれ固有の面白さもあります。繰り返しますが、ここの章は私個人の雑感なのでそれらを否定しません。ですが魚類全体、あるいは生態系全体にとって、特定の型ばかり投入するのはバランスを崩しやすい行為です。マナーや外来種問題などで界隈として槍玉に上がりやすくもなります。趣味は釣りです、といって嫌な顔されることは少ないはずです(釣ったら食べるんですか?の質問は飽きたでしょうがw )。ですが、バス釣りです、と言うと相手の目の色が変わる場合はあります。
バスとバス釣りがこれだけ批判に晒されるのは、単に侵略的外来種だからという点に留まりません。侵略的外来種という点以外の課題については、在来種であってもバスと同じ道をたどり得ると思います。今後、そのような意味で注目したいのはチニングです。先に書いたとおり、今のところは場所も魚も豊富で、発信側の方々も紳士的な方が多く、◯◯ングの中では良い状態を構築しています。ルアーでもエサでも様々な釣法があり、わりと釣果も期待できる。昔のバスフィッシング的に初心者向け釣りの入口になり得る魚種です。しかし、今後チニング人口が増えて魚がスレてくると、徐々に現在のバスのように様々な”メソッド”やインフルエンサーが増殖します。またチヌ自体は漁業関係者等から食害で嫌われることもある魚種であり、自然的ながら生息域(数)を拡大している今の状態は歓迎されない場面もあります。現在のチニングは数釣りに価値を置くスタイルが浸透していますが、もしこの流れのままチヌが減らずスレだけ進行し、スタイルそのままにメソッドだけが多様化したら…チヌとチニングがバスのような嫌われ方をする可能性は大いにあります。逆にもしチヌが採取圧などで減っていったら…その時はフィールドの取り合いにより駐車場問題やマナー問題といったバスで問題視されるような人由来の課題が発生してしまうか、完全に下火になるか、どちらかかもしれません。バスにおける過去から現在までの失敗を知る令和のアングラーと業界は、同じ過ちを繰り返さずに歩んでいけるのか。大事な試金石だと感じますし、あまり界隈化させないことの大切さも感じます。
究極的には、野遊びの1つとしての釣りが良いなぁと思うわけです。作っていきたいのも、見せていきたいのも、そんな世界観です。バランスを崩した生態系の水生生物目線だと、はたしてこういった方向は喜ばれるのでしょうか。どっちにしろ来るなニンゲン!と言われるのでしょうか。
…記事を書きながら「バス釣りはやっぱり止めとくべき?」とも悩みましたが、今のところは制限付きで止めないでおこうと思います。今はまず①リリ禁なら必ず、リリ禁でなくても極力食べること(美味しいですよ!)、②管理されたフィールド、お金を払ってできるフィールドを中心に行うこと、を心がけています。一時期は本当に離れていましたが、今の住まいではたまたま①②がしやすい環境なのでバスを再開しました。当然法的に問題となればやめますし、駆除が必要となれば積極的に参加しますが、許されるうちは①②を実践し、着地点を模索しながら自分の釣りのルーツの行く末を見届けたいと思っています。キャッチ&イートでも苦言を呈されてしまったら…すみません今のところご納得頂ける回答は提供できなさそうです。
あと、ルアーのバーブレスシングル化を少しずつ進めてきましたが、より全面的に進めます。魚に優しく、なんて綺麗ごとのためではありません。ゲームやスポーツをしているわけではないので、捕獲率と楽しさは比例しません。であればシングルバーブレスの方が様々な理由で楽しめるからです。もちろん楽しめる理由に魚のダメージが小さいというのも含まれますが。また結構地面に魚を置いてしまうアングラーだったので、それを極力やめようと思います。これも別に偉そうなことを言いたいわけではなく、単なるエゴです。魚ってやはり陸に上げると生命の躍動感が消える気がします。リリース時の生存率などとは別の、感覚的なものです。今できている釣りや目の前の魚が当たり前ではないので、よく味わいたいな、という気持ちです。書かないとついネット持っていくのを忘れがちなので、自戒を込めて。
テレスコロッドが界隈化する未来はあまり思い浮かびませんが、もし界隈化したら、リスクとなるのは釣り禁止エリア問題です。ふだん行く場所のために持ち歩くならいいですが、旅先で使う場合はそこの釣り事情に気をつけないといけません。ネット情報ではわからない釣り禁止エリアや、ローカルルール的なものが存在する場所もあります。このことについては改めて記事化して周知したいと思っています。
今度こそ以上!ご清覧ありがとうございました!