近年、中華リールと呼ばれる中国・台湾等の新興メーカーのリールが日本にも流通してきています。品質、価格とも様々ですが、中でもNT海洋事業部さんが日本総代理店を務めるLOONGZE社のリールは存在感を放っています。
最近、プレゼント企画を通じてB71MBS XGを入手しましたので、これまで所有してきたLOONGZEリールも含めて造りや性能を解剖・インプレし、新興リールと日本のリールに関する雑感を記したいと思います。あくまでテスター等ではない一般ユーザーなので、頂き物ですが好き勝手書いてます!
B71MBS XG メカニカルインプレ


正直に申し上げて、LOONGZEの中では地味なモデルです。ただ個人的には決定版かなと思っています。基本スペックはホームページをご確認下さい。Gunsmokeというカラーを選んでいます。デザインはロットによっても多少異なると思いますが、少し青みがかったシルバーはカッコいいですね!メカニカルブレーキ周りの造形も凝っていて好きです。
https://s.ntus.info/loongze_airlite_b70_b71_mbs_xg
基本的には兄弟機のB101と共通ボディで、いわゆるフィネスリングによって30mmスプールを搭載しています。フィネスリングを用いるとスプールに対してボディが大きくなりがちですが、元々カルコンBFS並にコンパクトなので違和感はありません。
フィネスリングはスプールエッジにかなり沿わせてあります。私の実使用では特に利点も不具合もありませんでしたが、こんな細かいところも国産とは思想が違いますね。

やはりLOONGZEリールで最初に特筆すべきは、フルアルミマシンカットボディとこの軽量さでしょう。日本メーカーのマシンカット機種と比べても、樹脂パーツが異常に少ない!パーツが必要なら全部マシンカットしてしまえ♪という勢いとノリを感じます(笑)当然ながらバリなどはありません。

レベルワインダーとサムレストは大きく前にせり出しており、丸型の弱点であるライン放出角度とパーミング性を改善しています。それとローンズロゴを型どった造形により、独特の佇まいとなっています。ここは好みが分かれる点でしょうね。個人的にはフォルム自体は嫌いじゃありません。ただサムレストは個性の発揮しどころでもあるので、ウッドか鮑のプレートでも作ろうかなと思っています(^_^;)カスタム好きなもので、ごめんなさい!
スプールは固定式インダクトローターが取り付けられています。昨今の超軽量中華スプールでよく見られる、シャフトも一体切削されたタイプのようです。両端のみ摩耗及び摩擦軽減対策の別体パーツが取り付けられています。ベアリングはセラミックボールを使ったマイクロタイプに”下駄”を履かせています。下駄にはOリングまで配されており、とにかく凝った造りです。ギュンギュンに回ります。また個人的に注目したのは、ラインキャパです。浅溝の部類ですが幅が狭すぎないので、PE1号を100m以上飲み込みます。そしてローターとベアリング込で5gを楽に切る軽量さ。ラインセッティング次第で様々な釣りに対応するモバイルリール最適解の1つになり得ると考えました。



LOONGZEのブレーキシステムは大きく分けて2種類。デジタルコントロールのDBCと、このマグネットブレーキのMBSです。他機種のMBSはローターに5段階クリックがついており、なんとローターの可変幅を調整できるようになっています。現場でSV的、Z的といった感じで特性をいじれるマグフォースのような機構で優れモノです。
一方B71のブレーキは、同じMBSと銘打っているものの仕組みが異なります。前述の通りローターは固定式ですが、マグネットユニットがバネで押さえられており、マグネット側がキャスト時にせり出すタイプの可変機構です。マグフォースとFTBの良いとこ取りと考えればこれも理に適った機構です。ローター周りは可変式ローターより軽量化でき、動作はFTBより安定的でボビン径の変更も容易ということです。ただこれもセッティング次第であり、大事なのは使ってみてどうかです。また他のMBSに対し可変幅のワンタッチ調整機構は廃止されています。バネを外したり交換したりすればカスタムはできそうですけどね。
なおこのカップ兼ブレーキユニットはカップごと回して着脱できます。カップ中心とスプール軸が同位置で、芯出しは安定していそうです。惜しむらくは、カップのデザインがシンプル過ぎて高級感を感じにくいこと…。ギア側は中々良いのに…。

ボディはまさに徹底した軽量化が行われています。ただ剛性を犠牲にしている感はなく、無理に負荷をかけてもビクともしません。抜くところの選定や厚みの設定が上手いです。ただ、質量は剛性”感”や塊感、すなわち質感を生みます。なのでここまで軽いと何となく薄っぺらく感じてしまいます。初見だと「あれ?樹脂ボディ?」と感じるくらいです。ハンドルも短く細く、後述のギア特性も相まって、使用感としては繊細・華奢といった方向です。しかし実際には十二分の剛性があるのが面白い点です。

ハンドル長は80mm。ノブは特徴的な螺旋形状の超細身アルミ切削もの。好みが分かれる設定ですが、これがLOONGZEリールの個性が現れる点でもあります。他のモデルも含めて、このノブはクリアランスがギッチギチに詰めてあります。ガタがほぼ感じられないレベルに調整されており、こういった点が独特の使用感に繋がります。
ロックナットはダイワに見られるボルト式で、個人的に好みです。ハンドル自体も大きく肉抜きされておりますが、このノブやハンドル長で期待する捻じれ剛性をギリギリ確保しており、上手い調整です。

さぁ、分解していきましょう。基本構造はB型で共通なので、他モデルの参考にもなると思います。
※最初にお断りしておきますが、LOONGZEリールのフルOHはやや上級者向けです。内部の特徴をご紹介するための分解であり、個人での分解整備を推奨は致しません。
よくある、ただしけっこう凝ったハンドル・ドラグノブ周りのワッシャー類を外してギアボックスに手をつけていきます。ここでさっそく注意点です。フレーム固定のボルトはトルクスネジのT10サイズとなっています。まずトルクスドライバーが必要であるということと、このB71については一部ボルトがフィネスリングに隠れてしまい、斜めに回すしかない状態です。深穴のトルクスゆえに回せてしまいますが、これは頂けません。ここ以外のボルトはフィネスリングには干渉しませんが、もともと少し斜めにドライバーを入れないと回らない配置です。イケるやろ!のノリを感じる造りです(笑)実際特に困ることはないのですが、こういう点はリールを造り慣れた日本メーカーに一日の長があります。

ドライブギアとご対面です。グリスべたべたじゃないのが中華リールというジャンルでは珍しいです。むしろ錆び防止でもっと塗ったら?と思うくらいです。しかしクラッチ周りはテフロン樹脂なんかも使われていて、潤滑油に頼らない摺動を目指しているのかもしれません。実際にクラッチ動作は節度感があって上質です。

ギア径は普通、ギア厚は薄めのジュラルミン製です。根本的な巻き上げ力は、ボディ全体の剛性によって優秀な部類です。ただギア厚や素材、ハンドル長からわかる通り巻き上げ力を最優先にはしていません。そして面白いことに、このギアセットはB50〜B200まで共通で、ブラスギアも単体購入可能なんです。200番で通用する巻き上げ力のギアを、フィネスリールで使えるということです。しかも自重をかなり抑えたまま…。かなりの独自性です。
ギア自体の品質ですが、国産ハイエンドモデルのようにピカピカに磨かれたギアではありません。ただ素人感覚としては精度自体が悪いとは感じません。むしろバックラッシュ(ギアが回るためのクリアランス)が詰められたかのような精密感のある巻き感です。しかし改めて後述しますが、全体的にガタの無さを極めた設計によってノイズを拾いやすい印象です。しっとりヌルヌルを期待する方には正直オススメしませんが、これは逆に振動の伝達効率が高いということでもあります。そう、LOONGZEのリールは高感度なんです。
実際にバックラッシュが少ないかはわかりませんが、例えばスプールを押さえた状態でハンドルを回そうとしてもあまり動きません。ピニオン周りも含めて、全体的にスキマが潰されています。カチャカチャ感がないんです。

なお慣らしによるアタリつけ、グリスアップ、更にはブラスギア換装等でノイズ感はかなり改善します。ヌルヌルとまでは中々いきませんが、ジュラルミンギアでもスルスルにはすぐなりますし、あとは尻上がりです。
そして、ぶっちゃけノイズ感の大半はセラミックベアリングです。これを換装してしまえば限りなくヌルヌルに近づけるでしょう。
別注のブラスギアセット。これに換えるのも面白いカスタムです!

LOONGZEの大きな美点の一つに、優れたドラグ性能があります。スピニングに肉薄する滑り出しと粘りがあり、ドラグを出しながら寄せてくるような使い方すらできます。しかもそれが設定値全域で発揮されるので、最大4kgというスペックから想像されるより遥かにタフな使い方ができます。ドラグ性能については、吊るしの汎用ベイトリールとして世界最高峰の1つだと言えます。もちろん音量の大きいクリッカー付きです。
面積を大きくとったカーボンクロスワッシャーを、ドライの多板式で使用しています。かなりパーツ点数も多いです。他に特徴的なのは、ワンウェイクラッチのインナーパイプの下に肉厚ワッシャーを噛ませていること、挟み込むプレートが厚くしっかりしたものであること、そしてストッパーギアの表面に鋳物的凹凸があって、これは滑り出しに効くかも?とは思いました。真相は不明です。


下の動画はB101で、ちょっとわかりにくいですがドラグの滑り出しを撮ったものです。こいつ、引き出す速度によらずほぼ一定値で滑る上、滑り出す瞬間の値(静摩擦係数)よりも滑り出した後の値(動摩擦係数)が大きいんです。実際に魚を掛けてもジリジリいわしながら寄せてこれています。(誰かさんのキモい声は気にしないで下さい。ドリームレイク閉店悲しい…。)
さて、ドライブシャフトを外します。レベルワインドを動かす樹脂ギアははめ込み式で、抜き取ると下からネジが出てきます。
14カルコン系のように、ベアリングがプレートを挟むように配置されています。14系と違うのはベアリングの周りです。わかりますでしょうか、ベアリングはEリングで固定され、軸の根元にベアリングボールが埋められています。フレーム側にもボール受けの小さなプレートが入っています。ここにも徹底した処理がなされているわけです。事実、ハンドル軸を軸方向に引っ張ってもガタが非常に少なくなっています。シマノだと、アンタレスやカルコンがダブルベアリングにより同様の効果を得ていますが、このやり方も見事です。
※失くすと悲しい思いをしますので分解は自己責任で!


レベルワインド周りはけっこう癖強です。アルミプレートでガイドバー?とパイプを押さえていますが、パイプのズレ防止方法が、プレートについた突起とパイプに設けた小さな凹みを噛み合わせるというもの。ここは軽量化とスペース効率優先なのかもしれませんが、「そうきたかぁ〜」と呟いてしまいました。私も最初、組み立てに四苦八苦…。繰り返しますが、分解整備を推奨はしません。
B71MBS XG 実釣インプレ
まずPE0.8号(ガイダス9)130mにフロロ4号4mのセッティングで色々試しました。期待するのは、このセッティングでどれだけ幅広いルアーに対応するか。ダイヤル3〜5あたりにスイートな位置があり、そこを軸に調整しながら投げてみました。

約7gのI×Iシャッド。軽い振りでも気持ちよく飛び、リトリーブでは振動が心地よく伝わってきます。逆風でも制御できていて使いやすい上、可変マグの恩恵か、スプール径から想像するより後半の伸びも感じられます。

7gの直リグもいってみましょう。ここでも軽いスイングでの飛距離が印象的です。フッと振ると、え?そんな飛ぶの?という感覚で着水します。そこから入力を増やしても非距離が大きく伸びることがないのは30mm径らしいですが、他のリール以上の飛距離が軽く出てしまうのが素晴らしい!

続いて約3gのスネコン50S。オーバースペックのリーダーですが、それでも飛びますね。ルアーの存在感がよく伝わってきて、メバルプラッギングリールとしてもGoodです。

続いて約18gのTN70。フルキャストだと初速の制御が少し辛くなりますが、ルアーなりには飛んでくれます。メインで使うべき重量ではないものの、実用範囲です。

0.6gのジグ単も投げてみました。リーダーもライン量も無茶なセッティングですが、これでもスプールは回ってくれました。風がなければバックラッシュもなく、そこそこの飛距離です。快適とまではいかないものの、モバイルリールとしてこの性能は相当助かります。ラインを適性化したら、さらに余裕で飛ぶでしょう。

テストの〆に、インライン式の小型バズベイトで鯉を狙いました。ここでかなり感動しました。7g程度で空気抵抗もかなりありますが、軽く振るだけでいつもより奥まですっ飛んでいきます。気難しさもなく最高です!そして流れの中でかなりのサイズを掛けましたが、パワー負けもありません。余裕のランディングでした。

今後、様々なセッティングで試した結果を追記していきますが、まずは大満足です。軽〜く飛距離が出て、1台であらゆるルアーを高次元にこなしてくれます。
全体を通して何より印象的なのは、LOONGZEシリーズに共通する精密な使用感と感度です。これは徹底したガタとりと金属パーツ化、そしてフィネス化・軽量化によってもたらされます。ベイトリールの楽しさや強みに、操作や振動伝達のダイレクト感があると思います。そこを極限まで高め、逆に弱点であったドラグファイトにはスピニングに迫る性能を付与しています。気になる点を補って余りある魅力を備えたリールでした。
ざっと紹介してきましたが、LOONGZEリールは良くも悪くもただのパクりリールではなく、独創的な要素が多く盛り込まれた前衛的な製品であるということです。おそらく現地のエンジニア達は「いいリール、面白いリールを作ろう!」と真剣に頭を捻って設計したのでしょう。日本リールの研究も相当されたと思いますし、実用品としても十二分の出来です。疑問符が浮かぶ点もありますが、出来栄えには試行錯誤の過程やパッションを感じます。それゆえに「カルコンのパクり?」と言われてしまうデザインが勿体ない…。既存のデザイン文脈から外さない方が売りやすいのかもしれませんし、日本も過去にやってきたことですが…もうちょっと、こう…。
というわけで、デザインだけでいえば同社の他のモデルの方が好みではあります。基本的な構造は同じだとして、私が使用した各モデル毎の特徴を紹介しましょう。
B51 MC-1 唯一無二の超々コンパクト高剛性フィネス



トーキョーマハゼリミテッドモデルです。見た目は一番のお気に入り。かわいすぎるサイズと、国産では樹脂ボディ・マグネシウムボディでも達成できていない重量(写真はハンドル換装済)、そしてコンパクト化により更に剛性感がアップしたボディは唯一無二です。このサイズになると塊感もあって質感も増しています。MBSではなく素直な固定式マグブレーキと、約4gの超軽量28mmスプールでベイトアジングも成立するキャスト性能ですが、こいつの真骨頂はパワーベイトフィネス的な使い方でしょう。PE0.6なら120mを飲み込み、太めのモノフィラロングリーダーを入れたタフな使い方も許容します。巻きの感度を活かしたライトゲー厶も楽しく、ソルトの不意の大物に耐えてくれる剛性とドラグも強みになります。詳しい解説やマグネットカスタムは様々な方がアップされているので、そちらを見て頂ければ良いかと思います。
まぁそういった細かい話は置いといて、とにかくめっちゃちっちゃいことが最大の魅力かもしれません!かわいいリールです。
B101 DBC-2 進化が楽しみな「こういうのが欲しかった」要素満載なデジタルブレーキ



詳しい説明は下記のようなテスターの方々のブログにあるので、私は特に面白かった部分だけ書きます。
https://ameblo.jp/celica-1991/entry-12836605770.html
私が買ったのは最初期のロットで、まだDBCでなくDCと冠されていた頃のものです。ですが基本的なスペックは同じで、外部電源不要(一応充電器もあるが基本要らない)、Bluetooth接続でブレーキ特性変更可能、軽量浅溝スプール、という「それを待ってた!」なデジタルブレーキでした。Bluetooth接続は研究員扱いにならないと解放されないのですが、当時お願いして試させて頂きました。
WeChatのミニアプリ機能で操作するのですが、ブレーキ前半と後半の強さを個別に100段階で変更できるだけでなく、加速度センサー等も内臓していて今後の発展を予感させるアプリでした。何より、シマノに早くやってほしい機能を試験的ながら全て実装してくれている感じで、とても興奮したことを覚えています。
中でも面白いのが、電磁アシストです。回り始めをアシストしてくれる機能です。動画は5gのバズベイトという非常に飛ばしにくいルアーですが、電磁アシストで初速が上がることで、軽い振りでスッと伸びていきます。これは独特の使用感です。以前、冗談半分で「DCの最終系は電磁力自動射出システムだよねw」なんて話していたことが、ちょっとだけ現実になっています。
基本モードのセッティングの煮詰め、シマノDCと比べての制御の緻密さ、UI、システムの安定性などはまだ発展途上ではあります。しかし既に遊びの釣り用としては十分過ぎる信頼性はあり、かつ釣具の未来を予感させられる製品です。
ちょっと禁断の領域ですが、基盤周りの分解写真を載せましょう。なおこれは初期モデルですので、現行品とは違う可能性があります。

シマノに似た形状ですが、回転数検知の方法などが違いそうです。構造的にも丸パクリではありません。

お?

おぉ〜潔い!基盤は樹脂で埋めて、むき出しです。浸水した場合も丸洗いしやすいと思います。個人的にはアリな割り切りですが、日本のメーカー技術者が見たら卒倒するのでしょうか(笑)
この機種が出た後、DCパクり論争が起きていました。ネガティブな意見も散見されましたが、そうこうしていたらダイワからはIMZが発売され、アブからはVOLTIQが発売されました。今や中華リールに至っては、数千円の廉価モデルにすら普及してきています。シマノの最初期DCは登場から既に20年以上が経過し、特許も一部切れてきています。そのためこのタイミングで各社が動いたのは偶然ではなく、また各社ともそれぞれの工夫を入れて独自のものを創り出しています。LOONGZEもその1つであり、今後はどういった優位性を打ち出していけるかという競争時代になっただけなのです。LOONGZEの出来栄えを見ると、シマノもう少し頑張れるだろ〜と思ってしまいます。制御プログラムの優秀さと緻密さではさすがのシマノなんですが、今はカスタマイズ性より簡便さとブラックボックス化に注力している印象です。どこかユーザーを信用していない姿勢は、良くも悪くもシマノらしいなぁと思います。すみません脱線しました。
A101系 フルアルミマシンカットロープロという夢。パワーハンドルで解放される真の剛性



A101と言っていますが、正確にはアメリカBates社のHUNDOというモデルです。これはA101の兄弟機で、LOONGZEからのOEMで間違いありません。
実は私、LOONGZEが日本に出てくる少し前からこのモデルを使っていました。フルアルミマシンカットロープロボディで軽量なリールがアメリカにあると聞きつけ、勢いで個人輸入したんです。私のモチベーションはいつも、釣具の進化にいつも触れていたい、今一番面白いものを使いたい、というものです。
結果、これは素晴らしいリールでした。ギア構成はB系と同じで、ロープロボディは見た目の癖も少なく好ましいものでした。そしてパワーハンドルがついていることで、このボディとギアが持つ本来の性能が解放されています。国産では中々見ない程のボディのしっかり感と巻き上げ力に加え、インダクトローター調整により明確にフィーリングを変えられるMBSと、BFSリール並の軽さが同居していました。唯一気になったのは、ブレーキ力がPE前提でやや弱く、少し弄る必要があったことでしょうか。あとは本当に褒めるところばかりのリールです。
現行のA100系はボディ形状が変更され、よりパワフルな仕様にしつつ新機構も盛り込まれています。これも使ってみたいところです。
「パクった」「追いついた」という見方は価値を見失う。がんばれニッポン
B71MBS XGを中心に、これまで使ってきたLOONGZEリールをご紹介しました。ここまでのインプレを読んで、LOONGZEのリールは中華カルコン、プアマンズカルコンだという見方は適切でないことがお分かり頂けると思います。日本リールをパクった、日本リールよりここが劣る、日本リールに追いついたetc.そういった見方は、両方の良さを見失うと思います。
全ての中華リールに当てはまることではありませんが、少なくともLOONGZEについては既にパクりどころか独創的な機構や性能を持っていて、今までの大手リールメーカーにない価値と先進性を提供しています。一方で、例えばカルコンに代表されるような高品質感、重厚感、歴史、細部の積み上げノウハウ、緻密なデジタルブレーキセッティング、あらゆるユーザーの使用に耐える造り込み、そして確実な販売網とアフター体制などは、今のLOONGZEには望めません。現状では良くも悪くも”別モノ”なのです。
先に書いたとおり、私のモチベーションはいつも、釣具の進化にいつも触れていたい、今一番面白いものを使いたい、というものです。そこに原産国や販売国がどこだからという視点は存在していません。たまたま面白かったのが中国だったという話です。もちろん日本製で面白い製品も沢山登場していますし、仮に同じモノなら多少高くても日本メーカーを選びます。しかし、LOONGZEについては現状日本に代替品が存在しません。そして実用におけるハードルとなるアフターサービスの面を、NT海洋事業部さんが熱意でカバーしてくれるのであれば、使わない手はないというわけです。
中華リールなんぞ推しよって、と言われるかもしれませんが、再三書いている通り日本メーカーの製品とは総合的に別モノです。現時点では、追いつき追い越されの世界にはありません。中国でも、シマノダイワは信頼性の高いハイエンド製品として引き続き売れまくっています。ただ今後、ユーザーが求めるニーズに応え続けていけるかどうか。その結果次第では本当に肩を並べて議論する時が来るかもしれません。メーカー側もユーザー側も、色眼鏡をかけずに製品とメーカーの総合力を評価し、新興製品の強みと弱みを見極めて舵取りをすべきでしょう。そういう想いも込めて、是非日本のメーカーとユーザーに見てもらいたいと思ってメカニカルな部分をなるべく紹介致しました。中には「うわ〜ここ真似されたかぁ」みたいな部分もあるとは思います。リバースエンジニアリングによって一気に品質を高めた面もあるでしょう。逆に「なるほどなぁ〜」もあると思います。LOONGZEはじめ中華メーカーが通っている道は、かつて日本もアンバサダー等を真似しながら通ってきた道です。もはや国を基準に線引する時代ではない。蓋をする、一蹴するのではなく、認め、超えていくことこそ本当の意味での”がんばれニッポン”ではないか?と…。
余計なことを色々書きましたが、出発点は日本総代理店であるNT海洋事業部さんの心意気でもあります。日本メーカーが持つ事務的で合理的なアフター網はないものの、一つ一つできることを親身に対応して下さるNTさんあってこそ安心して使える製品です。新興メーカーのリールを展開していくというのは想像を絶する大変さですが、LOONGZE&NT古参ユーザー(?)として、諸問題を解決しながら今後も新しい釣具の価値を提供していってほしいと願っております。
海外も、日本も、楽しい道具で競い合い高め合っていける未来が描けますように…。