世界最小級?仕舞寸16cm・世界最軽量?(テレスコロッド内)アンダー30g「髄 ~marrow~」
先日、次のような竿を製作・公開しました。
自作ブランクス開発のためのデータ取りが主な製作目的でした。シルバーリングを使ったテネシーグリップ機構は、見た目のインパクト・固定力・使用感ともに良好だったのですが、いかんせんグリップ形状が…。詳しくは上の記事の最後を見て頂ければわかります…。これを握り続けるのはさすがに気が乗らないなと思っていたある深夜、急にロッドビルドの悪魔が降臨します。「がうよ、グリップを作り替えなさい。」
深夜0時、その囁きに導かれるがまま、気づいたら廃材だった中華製カーボンリールシートの切れ端とリューターを握っていました。そこからは狂気に身を任せて勢いよく完成に向かいます。このような刻は、正直気持ちいいです。
結果、数日後に誕生した狂気の結晶がこちらです。

Length:4ft9in. Closed:16cm Wt.30g Cast wt.:〜7g Line:PE0.3〜0.8 Mono.〜8lb




重量ギリッギリで30g切りを達成しました。過去にパックロッド・パイプシート使用という縛りでは14g切りを達成したことがありますが、今回はルアー用テレスコロッドでの世界最軽量をおそらく達成したのでは?と思います。
2026.1.30追記:仕舞寸についてはSNSで15.3cmというのを発見しましたので、自称2位ですね(^_^;)
ネーミングは、これこそ本当のスケルトンシート!と言わんばかりの骨骨しい見た目から名付けました。本質は骨の中にある髄。荷重変化や振動を敏感に感じ取り、アングラーの意志を伝達する中枢神経(脊髄)たるブランクスです。多くの節を持つのも背骨らしい特徴ですね。髄の英語であるmarrowは、「気迫」などの意味ももつようで、狂気の作品にふさわしいと考えて名付けました。
軽量化のポイントはほぼグリップです。正直なところブランクスはそこまで軽くありません。極限一歩手前まで肉抜きしたカーボンリールシート&グリップが軽量化の全てです。



一見無謀かつ非実用的な肉抜きに思えますが、有機的な形状を持っていたベースのリールシートの曲線や角を活かしているので、たわみは最小限に抑えられています。本家スケルトンリールシートと違って前後が繋がっているのも美点です。また手に触れる部分はしっかり面と角を残しているので、握っていて痛いということもありません。
更に全体的な軽量化の要となるのが、フード&ナットです。この部分は軽量化にとって最後の関門となります。今回採用したのは、テレスコギミックを活かしたリール前傾加工です。スピニングリールのリールシートでは最近傾斜タイプのメリットが聞かれるようになってきましたが、ベイトではどうか。今回に限ってのメリットですが、前側のリールフット高をスクリューと同じ高さまで下げることに成功しています。これによりナットがフードを兼ねることができ、フジ製リールシートのナットの切れ端があればリールを固定できてしまいます。フード兼ナットの重量はなんと塗装前で0.5g。ナット・シート・グリップの総重量で6g切りを達成しました。リールシートの削り込みだけでなく、アーバーレスでリールシート内に隙間ができるグリップズーム機構があるからこそ出来る仕組みです。



デザインについて、始めはブランクスの竹風塗装に合わせて渋いサンバースト塗装でもしようかと思っていましたが、塗装は派手にしたがる悪い癖が抜けません…。陰影が効きやすいシルバーを中間に入れたスカイブルーキャンディ塗装としました。
ナットはせっかく軽量化したので、スレッドを不規則に乗せてお洒落にしつつ、最小限の重量増で回すときの引っかかりを作りました。まぁ、塗膜をしっかり作りすぎたので相殺されてますけどね…。



昨年あたりから話題の超軽量中華製リール、Giu99を載せると、ライン込総重量アンダー130gという驚異的なタックルが完成します。このくらい軽いと、もはや反響構造とかもたれ感とかの工夫をすっ飛ばして、軽さがすべての解像度を高めてくれます。グラスベースの竿ですが、アジングにも間違いないでしょう。


とはいえ、私が目標にしているのはタックル総重量で100g切りです。テレスコとはいえ、そこまではあと30gあります。設計上の目処はついているのですが、面倒なのでなかなか手がつかないですね…。構想のまま終わらないよう頑張りたいと思います。
というわけで狂気のロッドビルディングでした。
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