【技術研鑽】テレスコ世界最軽量更新?15.5gテレスコロッドと61ML高耐久ロッドを同じブランクスで実現(?)

2025年10月8日ロッド作品

謎すぎるタイトル…。

面白いブランクスを彼の国から入手できたので、遊んでみました。今後の開発にあたり色々と試したい事があり、その実験台にもなってもらいます。

普通に組むと5’6″で仕舞寸26cm、5’11″で仕舞寸31cmという2種類の兄弟振出ブランクス。パワー帯もアジング・トラウト向けUL程度でほぼ同じです。特別粘りや反発速度があるわけではないですが、よく曲がり折れにくそうな雰囲気です。そしてまずまずの軽さ。自分で設計するなら云々…はありますが、ワガママ言わずに試してみましょう。

まずまず軽い!アフィリエイトはやっていないので、気になる方はAliExpressで調べてみて下さい。

せっかく2種類あるので、ガラッと用途を変えてみます。一本は素の良さを活かしてパツパツのアジングロッド、かつ異次元に軽いやつを。もう一本は、これまでのブランクス加工ノウハウを活かしてムチムチのタフネス系パックロッド。そんなこと可能なの?と思われるような話ですが、うまくいきました!

では早速完成品を…

世界最軽量(当社調べ)15.5gテレスコアジングロッド

ネット上に公開されている中で、かつパックロッド全体での最軽量は、2025.10時点では以前私が組んだコレ↓だと思われます。知らないだけの竿や、公開されていない最軽量は他にあるでしょうけどね。

ついでにテレスコロッドだったらコレが最軽量だったかと…。

パックロッド限定でなければ、最近は10g前後を射程圏内に収めた方が出てきています。私ももし次にチャレンジするならアンダー10gかなと思いますが、私の主戦場はテレスコロッド。テレスコロッドで、かつお洒落で実用的な竿でどこまで軽くできるか?ということで組んでみたのがこちらです。

4’9″ 仕舞寸29cm Cast wt.〜5g

上端は固定式カーボンロービングフード、下側はテネシー式カーボンロービングフードとなっています。アーバーはなくブランクに直マウントして軽量化を図っています。前回の最軽量チャレンジと違ってパイプシートにはなっていませんが、固定力と握りの安定感は向上しています。(まぁそもそも今回、最軽量というのはおまけでしかないです。)

この構造自体を試したかったのと、この構造+箔貼りを試したかったのです。

箔は限りなく軽いので、実質トップコートのみの重量増でデザインアクセントを入れられます。ただ軽いだけでなく、かなりお洒落に仕上がったと思います。

この形状は握り心地も良く、キャスト時には面がフラットなフロントフード部をしっかり押し出せます。

他に試したかったこととして、ブランクス嵌合部の加工です。

嵌合部に荒いバフがけを施し、ヌルッとした嵌め合いと固着防止を両立。更にはメス側のカット&研磨により仕舞寸を短縮しつつ曲がりも綺麗にするという、細やかな加工に挑戦しました。グイグイ曲げても問題なく、加工は成功です。仕舞寸も2cm短くできました。

このあたりの技法は別途ブログにまとめる予定です。

アクション自体はまずまずといったところ
更に曲げてこんな感じ

リールは三大メーカーどれも適合しますが、敢えて合わせたのは中華製リールです。このリールは110gしかない700番台超軽量リールで、この竿と組み合わせると総重量125gという常識外れのタックルが完成します。アジング程度なら剛性も何ら問題なく、ちょっと病みつきになる使用感です。0.5gのジグ単が重く感じられ、なのに張りはあるので2号エギくらいならバシバシしゃくれます。

こちらも気になる方はアリエクでお調べ下さい。国産の剛性は求めるべくもないですが、アジングには最高です。
静的バランスもベストな位置です!
実はグリップ全体とカーボンガイドに紫のパールを吹いてあります。渓流でも映えるかなと。
C-IMガイドもそのままでは味気ないので、パールラメを刷り込みました。

ここまでの軽さになると、竿の構造やら反響やらティップの食い込みやら全て無視して、軽さだけで振動伝達ももたれ感も得られます。まぁ楽しい竿です。多くの人に体験してもらいたい世界ですね。

61ML超小継タフネス系テレスコロッド

さて、そんなブランクスが本当にタフネス系ロッドにもなるのか?なるんです。それが今回試したかったもう1つの加工。フォロワーさんに教えて頂いた高強度エポキシを使ったブランクス強化とピース増設です。

お試しなのでパーツは傷入りや端材を使用

6’1″ 仕舞寸27cm Cast wt.〜14g

より仕舞寸の短い方のブランクスに、2ピース増設して10ピース化。元々はグリップセクションだった部分がバットになります。更に前述の軽量ロッドと同様の継ぎ目加工を施し、更にティップ付近はカットし、更に更に更にパールラメを混ぜた高強度エポキシをブランクスに刷り込みました。これが効果抜群で、華奢でパリッとしていたブランクスが、粘り感と硬さを両立した強いものに変わりました。そしてティップは先径0.8mmと、個人的にはやや強めのハイテーパーチタン。ガイド径は大きめで太めのモノフィラも意識したセッティング。スレッドコーティングにもこの高強度エポキシを使いました。コーティング用としては安定感に劣りますが、抜群の浸透性と強度は代え難い魅力があります。

教えて下さったフォロワー様、ありがとうございますm(_ _)m

グリップは傷物のウッドタイプを使用しつつも、内部をえぐってカーボンパイプを挿入したことで、軽量かつ中空の高感度ウッドシートとなりました。このえぐりによりリール装着時に隙間があまりできなくなったのも、通常のウッドシートと比べて良い点です。

ややリアヘビーなリールシート構造としつつ、エンドはカーボンパイプにツキ板を貼り付けた極薄ウッドグリップに。これらの構造と極薄スレッドコーティングにより、静的バランスと慣性モーメントの低減を両立しています。

薄く、かつガイドフットをカットしていても強度が十分確保できるエポキシ
ティップ付近のガイドは攻め込みつつ塗装でおしゃれに
ウッド採用なのにここは大変軽く、また細いことでロッド操作時に邪魔になりません。
良い位置です。これでエンドはバランサーどころか超軽量仕上げなのがポイント。

並べてみると、とても同じようなブランクスから組んだとは思えませんよね。使用感も全く違い、こちらは1/2ozのバイブレーションや3号エギをビシバシシャクることができるほどパワーがありつつ、軽量ジグ単の感度もばっちりです。釣り場に着いて自然と手が伸びる竿になっていますね。

その他、ケミカル系をいろいろ試すことができて非常に有意義なロッドビルドとなりました。どうしてもテレスコロッドはブランクスの選択肢が少ないので、ここで試したような小技が完成度を高めるために必要です。今後の作品に活かしていきます。

(最近アップロック作りまくっていて、アップロック苦手病を克服しつつあります…。)