仕舞寸20cm級 究極のペンロッド

2020年12月4日ロッド作品

釣り人なら一度は見たことがあるはず、ペン型のパックロッド。手の平サイズでかわいいんですが、さすがに実用性は厳しいものがあります。しかしポケットから取り出す秘密の武器って男の憧れ。ペンロッドには釣り人の夢が詰まっています。限られたサイズに機能をまとめることは実に日本人的でもありよろしいです。

では、まともなペンロッドは存在し得ないのか。パックロッド道を極めるにあたり、このテーマは究極の1つです。当然ながら継方式はテレスコになります。しかも20cmクラスの超小継。まともな竿に果たしてなるのか。おそらくメーカーが本気を出せばできるでしょう。でもそんなのマニアック&高コストすぎてどこもやらない。並継や印籠継なら既製品の組み合わせでなんとかなりますが、テレスコは基本メーカーに頼るしかない。時々気になって探してたものの、出てくるのは明らかに質の低そうな延べ竿くらい。やはりマニアックすぎるのか…ないよなぁ…………

…あった。

プロックス小技小物140
http://www.proxinc.co.jp/lineup/page.jsp?mode=id/739

パックロッド界の奇才、プロックスの小技小物。

仕舞19cm。全長140cm超硬の11本継。材質Sグラス!Sグラス!S グラス!

これを見つけた時は2020年のどんな新製品発表より興奮しましたよ。超硬ならルアーロッドとして使える張りがあるはず。全長も十分。何より強制的にハイテーパーとなるテレスコ構造は、ショートグラスと相性が良い。この長さだとカーボンでは竿としてのたわみや強度が出ない。脆く曲がらない竿になる。それに対し強度と張りの面でもSグラスはおそらくベスト素材。デザインもピンク基調の和柄で大変オサレ。あとプロックス広報のお姉さんが妙にクセになる。妙にクセになる。大事な事なのd(ry そんな竿がですよ…実売で5000円切ってる。しかも在庫セールで3000円のショップ発見!もう光の速さで注文しましたよわかりますかこのヲタク的興奮。

で、届いた竿は想定以上に完璧でした。

プロックス小技小物140 テレスコロッド
驚くなかれ これが11本継のベンドカーブだ!!

ティップのグラスソリッドは柔らかいものの、そこからは思いの外パワフル。フィネスロッドを想定してましたが、これは予想以上に汎用性高そう…。

少し方針転換し、ライト寄りのバーサタイルロッドとして仕上げることに。ここからが腕の見せ所です。

この興奮をTwitterで呟いたところ、変態(褒め言葉)ビルダーさんたちから反応があり、小技小物のカスタム大会といったノリに。こういうのSNSならでは。楽しいんですよねぇ。

またこのカスタムに熱が入った理由がもう一つ。ロッドビルド界では神と崇められるモーリスグラファイトワークス安達氏の存在があります。彼がちょうど20cm級の渓流テレスコベイトロッドを試作しているという記事を知りました。早速雑誌を見たところ、さすが神。とんでもなく美しい仕上がりです。しかもグラス素材にチタンティップを採用。天才です。この記事を見たことで真剣に探し始めたからこそ、小技小物にたどり着きました。尊敬しつつ、負けたくない。

それからしばらく竿をシコシコお触りしてました。特にティップとグリップの仕様を悩みながら。で、私は宣言しました。敗北宣言。神よあなたがNo.1です。私もチタンティップでいきます。

ちょうどアジングロッド向けにチタンティップの加工をやった後で、太チタンにかなり可能性を感じていました。この竿にアジングロッドなどとは違うハードなチタンを継いだら面白いはず。早速やってみましたよ。

チタンティップテレスコロッド
ハードショートチタンティップ

グラスソリッドティップから、8cmの1.5mm→0.9mm超ショートハード急テーパーチタンティップへ。グラスの感度を補い、テレスコ最大のリスクであるティップ破損を防止。さらには意外と硬いこの竿を曲げていくウェイト的役割を期待。とりあえずガイドと仮のリールシートを載せてテストしたところ、これがどハマり。リール次第で0.5gジグ単から1ozの羽根モノまで振り切れる驚異的汎用性。しかもちゃんと反響感度がある。もたれ感度はないものの、アジでも竿曲がるし、コイ掛けても取り込めるパワーもある。ありがとうプロックスのお姉さん(´;Д;`)

で、色々グリップも悩んだ結果ようやく仕様が決まり、完成しました。

超小継テレスコロッド
小技小物140改 ミクラス

素材:プロックス小技小物140超硬
仕舞寸:23cm(本体18.5cm)
継数:11+1 全長:4ft11in
適合重量:0.5〜28g 材質:Sグラス+チタン

サブネームは、大好きウルトラマンよりカプセル怪獣ミクラスとしました。(特に小さい以外にミクラス要素なし)

デザインはベースをリスペクトで、ピンク調の和柄を踏襲しつつ趣味全開。グリップの藤巻きはなかなか楽しかった作業で、握り心地もよきです。

ガイドはC-IMとTC-IMをギリギリまで切削。トップはT-LFFTT3。これで仕舞を抑えつつ、トップは1番ガイドにすっぽり隠れます。これでライン結んだまま雑に仕舞っても破損リスクは最小です。

遊動ガイド
ガイドセッティングとスレッドスクリュー

そして思いつきで試していたスレッドスクリュー。せっかく短くてオサレな竿なので、外装から無骨なものを消したかった。ピッチを揃えてスレッド2本巻き、瞬接で固定。その上からもう1本、2本の真ん中に重ねて三角形に。これも瞬接で固定して仕上げにエポキシ、て感じです。使ってみて強度も十分だったのでフォアのスクリューとグリップのギミックに採用しました。

ティップカバーはカーボンモノコック。カバーはフォアナットにぴったりハマるように、ナットのリールフット部はトリガー部にぴったりハマるように調整。苦手科目である塗装の練習をかねて、キャンディ塗装やってみました。シルバーを敢えて薄塗りにして、見る角度によってグラデーションが効くように。悪くない!

ペンロッド
仕舞状態

さて、何故にティップカバーにもスレッドスクリューが。つまりこういうことです。

延長グリップ
セミダブルハンドルに!

泣きどころになるグリップの短さをどう補うかが、この超小継竿のキモ。フォロワーのHiroさんは超絶ギミックで伸縮グリップを組まれてました。私はティップカバーを延長グリップにすることで解決しました。ギリギリダブルで握れる長さです。

ガイドは全て継ぎ目に配置したので、遊動ガイドはゼロ。セッティングが楽ちんです。またストレートでもスパイラルでも使える点もメリット。なるべくバット寄りにガイドを配置し、バットパワーを活かせるセッティングを意識しました。

そこからは色んな釣りを試しました。とりあえずどこへ行くにも鞄に仕込んでおいて、何でも釣ってやろうの精神。目指せ100種目です。

今のところ、バス、ナマズ、鯉、ヘラブナ、ニジマス、アジ、メバル、タケノコメバル、カサゴ、コノシロ、アカエイ、シジミなど(笑)

ルアーウェイトの限界としてダヴィンチも放ってみました。結果、ゆったり振る分には問題なし。操作も効く。ダヴィ鯉ングが成立するというハチャメチャぶり。

だんだん楽しくなってきて、悪い虫が騒ぎます。某湾岸ポエムによると、チューナーとは自分が組んだクルマが壊れる事をどこか望んでいる、と。愛するマシンを実験台に乗せる気持ち。私にもあります。で、ランブルフィッシュテールをつけたら途端に竿の余裕が感じられなくなり、試しに急角でオーバーヘッドキャストすると…

ロッド強度テスト
よいこはマネしないように。継ぎ目で折れなかったのはすごい

キャストでも操作でも、ノーマルテールでは感じられなかった限界感。間違ってなかったです。ごめんよプロックスのお姉さん(しつこい

でもテレスコの良いところは、すぐ直せるところ。予備を一式と接着剤を持っておけば、出先のホテルでドライヤー使って直せますね。というわけでこれの修理は15分で完了。

20:33→20:48修理完了

これからはあまり無茶させずに旅のお供として永く使っていきたいです。

最後に、合わせるリールについて。遠投する竿ではないので、フィネス寄りでスプールバリエーションの多いリールが使いやすいです。最新リールならスティーズCTで700Sスプールと中華フィネススプールの2ボビン体制が最高でした。リーダーは前者が16lbナイロンのロングリーダー、後者は狙いに応じて。トップ径3でもショートキャストならトラブルはありませんでした。あとはモラムSX改のダイレクトリール!程よくブレーキが効いて非常にバランスが良い。釣り味がよいのでハマってるセッティングです。