ガチアジングロッドがシーバスロッドに可変 Gautra Works “BEYOND”
パックロッドって、意外とかさばります。
個人的基準として、パックロッドは60cm以下が最低条件だと思っています。これは国内外問わず航空機の機内持ち込みサイズが60cm以下だからです。これを超えると携帯性もかなり落ちますし、そもそも手荷物にできない場面が出るわけです。私は更にそこから仕舞寸法別にカテゴライズしていますがそれは別途語るとして…。
60cmってのも結構長いんですよ。
これだけバッグから飛び出るので、公共交通機関を利用するとまぁまぁ気を遣います。それで何が釣れるかわからない未知のエリアに行くとなると、本当は何本か持ち歩きたいですがそれは現実的に難しいわけです。
その解決方法はいくつか考えられますが、私はこのようなアプローチをとりますた。「セクションの挿し替えでレングス・パワーを可変する1セットのマルチピースを作る。」
実はこの発想は、最初からあったものではありません。ガチンコのベイトアジングパックロッドを作ろう!と研究していた過程で偶発的に生まれたものです。それがどうやってできたか。とりあえず全容の画像を。
あまりにパーツが多いので番号振ってます。とりあえずアジングモードから解説します。
<アジングモード500XULB-SMTT:①②③④の順で接続
このモードはジグ単アジングベイトロッドの最高峰をパックロッドで目指すというアホな試みの現状到達点です。
①は拘りのチタンティップ。15cmの中に3種類のチタン素材を使っています。継部は外径1.6mm,肉厚0.08mmの形状記憶チタンチューブ、そこから外径1.3mmのチタンチューブを削ってテーパー加工したもの、先径0.4mmチタンソリッドと継いでいます。チタンチューブはダイワでいうSMTT、がまかつでいうテクノチタンですね。ただ市販ではテーパーつきのチタンチューブなど入手できないので、吉見製作所さんのチタンチューブ2種を購入し、継ぎと削りとガイドセッティングでアクションをつくりました。ベイトキャスティングに必要なティップの適度な重量を出しつつ、シャキッとした操作感を残しながらチタンの最高感度を得たいという狙いです。ガイドはトップがトルザイト3、他は感度重視の最小径AGS。小径のAGSは意外と重く、またフレームが厚いので振り抜きが悪いです。そこでフレームを削り込み、振り抜き良くわずかな軽量化も果たしました。取付はカーボンロービングで巻き、エポキシをテープ加圧で含浸。そこに高輝度蓄光パウダーを混ぜたエポキシを薄塗しています。ナイトゲームでも動きが良く見えます。ただこのへんの仕上げ技術は要訓練ですね。正味4回ほど作り直しましたが、性能としては狙い通りになったと思います。コストは聞かないでください()
②は高弾性30tカーボンソリッド。ジャクソンのマニアックなアジングロッドであるジャムオーバーの最弱番手を流用しています。(Twitterのフォロワーさんよりティップ折れ品を譲り受けました。その節はありがとうございます!)ベイトタックルで極軽量リグを扱う場合、ティップ~ベリーに適度な重さと柔軟性が必要というのが個人的意見。リグのウェイトのなさを竿自体の重量で補うこと、そしてファイト時に竿自体がドラグ性能を有すること。その答えが高弾性カーボンソリッドのベリーでした。ただしこの竿、豆アジモデルといいながらめちゃくちゃパワーがあります。フルソリッド竿特有のものですね。現在はわずかに研磨してパワーを落としてますがそれでももたれ感度より反響感度重視の掛け竿です。今後もう少し削ってもたれ感度を求めていくかもしれません。
③は超高弾性チューブラー。往年の名竿、テムジンエゴイストのベリー部を使用しています。50tカーボンを細身厚巻きしており、釣り味とパワーがありながら感度もあります。(当初、60tの鮎竿ブランクを使って試作しましたが、強度テストというにはあまりにしょぼい負荷でポッキリ逝きました…。)これをパワー調整と軽さを出すために塗装+一皮分を研磨しています。工夫したのはガイドセッティングで、遊動ガイドを2か所使っています。バット側はAGSを前述の鮎竿ブランクに巻いて遊動化。ティップ側はC-IMです。これにより、ティップ側の下向き固定ガイドをチョークガイドとしてリールから一直線に回るスパイラルセッティングと、ストレートセッティングが同時に使用可能となります。このバット部で回すスパイラルの元ネタはTULALAのベイト用ストローセッティングですね。はい、パクりです。でもこのセッティング、いいですよ。詳しくはまた別の記事で。C-IMも塗装すると見た目いい感じですね。
④は、中華カーボンモノコックグリップ…いや樹脂グリップです。トライアングル形状はシマノのパクりですが、残念ながら樹脂製のため剛性はありません。でも形状がとてもよく、メガホン形状による感度向上が期待でき、またこの変則形状が自然なトリガーレスグリップ化を可能とします。実際、使用感はなかなかのものです。リールシートはルアーではあまり使われないプレートシートを使用しています。最新のTC-NSはカーボン+チタン複合で、デザインも洗練されており安っぽさがありません。ちょうど本カーボン版の同形状グリップがアリエクに出たので、そちらが届き次第作り直す予定です。
重量は65gくらい。決して軽くはありません。ある程度の重さと、パックロッドたる耐久性を求めた結果でもあります。使ってみると軽さが全てではないことがわかると思います。折れそうなくらいカリカリのやつはスピニングで組んでみたいですね。
知り合いのロッドビルダー&某メーカーのテスターさんにテストしてもらいましたが、反響感度、飛距離、糸抜け、操作性については高評価を頂きました。もたれ感度については改善の余地ありということで、その点は修正していきたいと思います。グリップが良くなればもう少しもたれ方向に振っても感度を維持できるのではないかと思っています。ダルさを出さないように注意しながらバランスを探します。
<ライトゲーム&トラウトモード511XULB-SMTT:①②⑤⑥>
このモードは実は初期型のアジングモードとして作られました。使ってみたところ、パワーがかなりあり、ライトゲームのふとした大物や、管釣りの大型レインボーなどに具合が良いと感じこのモードも残しています。
ベリーセクションまではアジングモードと同じです。バットとグリップが違います。バットはジャムオーバーのバットを継いでおり、フルソリッドに近い竿構成です。これによりバラしにくさと不意の大物を浮かすパワーを得ました。
グリップはちと贅沢に、デジーノのDRCSを削ってトリガーレス化、カーボンモノコックに自分の手で型取りしたウェットカーボンシェルを被せてます。
ガイドセッティングはこれもTULALAパクりスパイラル。より原作に近いセッティングです。
コスメはロッドネームの由来であるウルトラマンゼロビヨンドを意識してます。アジングモードのグリップもそれですね。特撮、てかウルトラマンが好き。
エンドにはミニ四駆のホイールを装着。ピッタリのサイズ♪エンドは感度のため開放したかったので、性能面にも貢献しています。
使用感としては、感度はアジングモードに劣りますが、ルアーウェイト、対象魚の広さで勝ります。飛距離も鞭のように射出してくれるので良いですね。破損リスクも小さく、見た目の変態感に対しパックロッドとしては王道的な出来だと思っております。
<ミドルゲームモード 808ML/HB-ST:⑦②③⑧⑨⑩>
又の名をエゴイストモード。せっかくの名竿エゴイスト。ティップ折れのジャンク品ではありましたが、細身でムキムキなバットセクションをお蔵入りするのはもったいない。そこで思いついたモードです。仕舞60cm未満でカットし印籠継でジョイント。グリップは一度切断し、余っていた折れワーシャのフォアグリップを使ってねじ込み式延長グリップに。
さて、ティップはどうするのか。こんな工夫をしてみました。
アジングモードティップで使っていたチタンチューブラーとトップガイドを接着し、差し込みシロを増やしてアジングモードのベリーに装着。これで8ft8inの高弾性ソリッドティップを持った長尺エゴイストの完成です。
実に振り抜きが気持ちよく、ややライトめのシーバスゲームにピッタリです。チニングなんかにも楽しい竿です。
裏技として差し込み式トップの代わりにアジングモードのティップをつけると、①②③⑧⑨⑩ 900XUL/HB-SMTTとでもいうべき仕様に。フロートリグ、泳がせ、筏、カワハギなんかで使えそうです(笑)
今後は硬めのティップを追加したり、更にモードを増やしつつブラッシュアップを図っていきます。探求に終わりはありません。
<参考記事>スパイラルセッティングについて
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