2023年の作品集&釣りフェス出展のご案内
さてさて、ブログ更新頻度がどんどん下がっております…。
決してモチベが下がっているわけではなく、本業とビルドと体調の不安定さにより手がつかなかっただけです。
オーダーをお待たせしている皆様にはご迷惑をお掛けしておりますが、体調も風邪の頻度が多い程度の話ですしヤル気は満ちておりますので、どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。
今年のチャレンジ
今年はロッドビルドにおいて様々なチャレンジを行った年でもありました。
昨年末のブログにも少し書きましたが、作業環境を整えて製作の質を高められるように(言い訳出来ないように)しつつ、研究課題と新たな試みを行いました。
それら課題に点数をつけるとしたらこんな感じでしょうか。
①ダルい素管でも高感度に→70点
②ダルい素管でもシャープに→50点
③重いグリップでも高感度に→50点
④新機構開発→70点 マダネタアルゾ
⑤塗装、仕上げ技術向上→30点
⑥素管設計技術向上→60点
⑦テーパー調整技術→40点
⑧設備増強→50点
⑨作業速度→10点…。
④はO.R.G.S.と銘打った新機軸スパイラルガイドセッティングです。
下記の通りブログ化しておりますが、2024年はこれを更に改良した「DNAスパイラルシステム」を提案予定です。
一部マニアにしか刺さらない内容ですが、宜しければご覧下さい&ご期待下さい。
⑥について、実は今年、テレスコ式パックロッドの理想を追求するため、ブランクス設計にチャレンジしました。
小技小物カスタムに始まった超小継テレスコの世界を追い求める中で、「こうしたい」「こうなったら…」と思うことが沢山出てきました。
それらを具現化するには市販品の改造ではどうしても限界があります。
理想を求める過程で、必然的に至ったわけです。
そしてその試みは、一発目からかなり理想に近いものができてしまいました。
工場探しから始め、マンドレルから特注(しかも13本!)し、材質・厚み・テーパーなどはほぼ自分の設計通りで進めるというハイリスクな挑戦でしたが、パックロッドの神様に少しは愛されていたようです。
少なくとも自分が思い描いた以上のものは出来上がりました。
はっきり言って開発費の元を取ることは不可能です(し最初から諦めています)が、私の描く理想がどう評価されるか、本数限定で一度市場にも問うてみたいと考えております。
とりあえず下記に概要だけ。
超小継バーサタイルテレスコロッド Piccolo Rivoluzione UGT-BX14
標準仕様で7ft・仕舞寸24cm・14本継という狂ったスペックです。
ロッドネームのPiccoloは、コンパクトさと響き(感度)を意味した、楽器の「ピッコロ」。Rivoluzioneは「革新性」の意味と、「公転軌道」に見えるブランク素体の玉口部から。
ベイトフィネスリールをつければ、1gジグ単を飛ばすベイトアジングができ、アジでもちゃんとベリーまで曲がります。
触って頂いた方にはわかると思いますが、反響感度は下手なアジングロッド顔負けでビンビンに響きます。
なのにショートレンジであれば2oz程度のビッグベイトを放ることもでき、50upのバスをぶち抜くだけの強度も有します。(実際に3kg弱のナマズまで抜いてます。推奨はしませんが…。)
タイ遠征に行く友人に渡したところ、「ブンサムランのバラマンディが難なく寄ってくる!」とのお言葉。
…と色々書きましたが、もう少し研究したい部分があるので、詳しくは改めて書きたいと思います。
※追記:書きました!
iPhoneサイズのルアータックルを!清澄白河釣具製作所様のお手伝い
上記のような活動の様子は主にTwitterで発信しておりましたが、そんなある日、Twitterをご覧頂いた方から驚くべき依頼を頂きました。その趣旨は
「iPhoneケースに収まる超小型ルアータックルを製造したいから、ロッドの設計を手伝ってほしい。」
というものでした。
インスタアカウント↓
https://www.instagram.com/kiyosumishirakawa.tsurigu?igsh=MWxjMzRydGJwbW9mMQ==
ルアータックルという表現からわかる通り、収めるのは竿だけではありあません。
リール、ルアー、その他小物まで全てが収まるということです。
iPhoneといっても、Maxなどの大型モデルではなく通常モデルのサイズ、すなわち長辺14.7cmです。
そこに収まるリールは既に開発を進めており、ロッドに知恵を出してほしいとのことでした。
そして何より重要なことは、これがワンオフの企画ではなく、販売を見据えた開発であるということです…。
私のような素人にこのような大役が務まるのか…。
一瞬だけ悩みましたが、こんな貴重な機会は二度とないでしょう。
二つ返事でお請けさせて頂きました。
最初の打合せでリールの設計を見させて頂きましたが、もうワクワクが止まらない図面でした。
フィルムケースより小さいボディ(若い人にはわかりませんね(-_-;))に、クラッチボタン、フリースプール、レベルワインド、アンチリバース、ブレーキシステム、ドラグといった現代ベイトリールの機能が全て詰まっていて、巻取速度も一切犠牲になっていないのです。
その後、打ち合わせを重ねてロッド側の試作を行いながら、リールも試作機が組み上がりました。
初めて実物に触った時は、その精度感・密度感・品質感に息を飲んだことを覚えています。
もちろん一発でキマったわけではなく、今も改良を続けています。
ロッド側もPiccoro Rivoluzioneのように一発では仕上がりませんでした。
私自身、15cm未満の仕舞寸という世界を舐めていました。
ターゲット全長は100cm弱です。この短さで、軽量ルアーを飛ばすタメを作り、不意の大物に耐えるバットパワーを出し、しかも継ぎ目を8か所設けて、綺麗に曲げつつ強度を出さなければなりません。
初期プロトはPiccoroの思想を受け継いで設計しましたが、課題が多いものでした。
そこから材質・継ぎ方式・既製品の設計思想・新たなアイデア・それらの組み合わせ等、あらゆる可能性を検討し、物理計算も導入した結果、これまでの釣り竿には見られない独特な設計方式が編み出されました。
※工場ははじめ「こんなのやったことない!」と頭を抱えていました(笑)
勿論まだまだ煮詰める必要はありますが、表現したいことはほぼ表現できるようになりました。
人は課題を前にしてこそ成長するものですね。有難いことです。
こちらも別途ブログでコンセプトや設計思想、新機構についてご紹介したいと思います。
とりあえず現在の姿をご覧ください。
上記画像1,2枚目はロッドが初回プロトで、リールはどれも現在の仕様とは一部異なりますが、サイズ感はこの通りです。
そしてここでアナウンス!
清澄白河釣具製作所様は、2024年1月19日(金)~21日(日)に開催される釣りフェスティバルに出展します。
釣種別スタジアム トラウト A-307にて「iPhoneサイズの超小型ルアータックルセット」を展示予定です。
当日は一部時間帯で、タックルの試投もして頂けるようになっております。
ベイトフィネス級のルアーがすーっと飛んでいき、普通のリールと変わらぬ速度で巻けることにきっと驚いて頂けると思います。
私も今のところ土日のみですがブースにいる予定です。iPhoneサイズ以外の作品も少し持っていきます。ぜひ!お越しくださいませ!
↓下記に詳細をまとめました!↓
↓会場マップ 釣種別スタジアムのトラウト A-307です!
https://www.tsurifest.com/files/2024map.pdf
その他作品集
今年は製作ペースが昨年より更に遅くなってしまいましたが、それでもいくつかは完成できました。
どれも技術研鑽、新しいトライに繋がるもので、ご依頼頂いた皆様には本当に感謝致しております。
それらの一部をざっとご紹介させて頂きます。
※下記以外にもロッドのパック化や修理もお請けしておりますが、それらは数が多く割愛させて頂きます。
1.SHIN GaDZILLA 710ML-S
やや重めのミドゲー向けベイトロッド。ブランクはがまかつのティップラン竿のEGTR 77MH-solid.Fの穂先を高弾性ソリッドに換装して使用しました。
シンゴジラをイメージして、ヒビ割れサメ革貼り、ラップ塗装、熱線風グラインダー&焼き色加工チタンエンドを採用しています。
ガイドセッティングはO.R.G.Sを採用。
チタンエンドは反響感度を生むバランサーの役割も持ち、残響が激しい超高感度設計になっています。
2.携帯万能和柄ベイトテレスコロッド
仕舞寸法23cm 4ft8inch
ティップカバーをグリップに転用できる、仕舞状態がとても美しい和柄振出竿です。
今年の釣りフェスで話題になった価格30万円で話題となったダイワINLO。INLOをリスペクトしつつ更に高機能化したギミックとして考案しました。ベースはポケビッツ50ULで、総額はINLOの1/10です(笑)
スリットを設けたスクリュージョイントによって、ダイワ式と違いラインを通したまま収納可能です。異形カーボンパイプにより全ガイドを収納できて、かつトリガーレスでも握りやすくなっています。
ティップは18cmチタンで、渓流に最適化しつつ様々な魚種に対応しています。
赤紫⇆青と赤⇆金のWマジョーラに和装がエロいです(当社比
3.雅作 朱海
23.5cm⇔5ft2in
海のライトゲーム向け超高感度小継テレスコです。朱色の漆器のイメージという依頼に合わせデザインしました。
ソルト用ということでグリップが長くとれる感度両立の超ロングテレスコグリップ機構を考案しています。
Twitterの相互フォロワーさんが自作されたカーボンガイドを使い、チタンティップ、可変XFアクション等が盛り込まれています。
グラスながら反響感度もすごいんですよ!
4.エクスセンス ワイルドコンタクトの桜鱒向けグリップカスタム
「安達棒みたいに鱒に似合うウッド・カーボン・コルクで、かつモノトーン!」というお題。
その名を出されたら正直無理ゲーですが、真似になっても仕方ないですし、エッセンスは取り入れつつ自分なりに頑張りました…うぅ…。
一般的な桜鱒ロッドに対し相当ハードなワイルドコンタクトで、岩をかわしながら掛けていく釣りをなさる方のご依頼。その攻めた釣りに似合うといいな、と考えてみました。
ウッドを薄肉に削り込み、ブランク露出型の硬派なウッドグリップに。振動伝達の素性も純正以上にしています。
エンドはバランスを好みに調整できるようバランサー式とのご希望でした。
地元富山の青銅シートを飾りに入れてバランサーの見た目を向上させています。
5.アルミグリップ源流テレスコ
予算を抑えつつアルミシートと藤で和風に…というご依頼で、RTA製作しました。
ポケビッツ50ULの純正部品を活用しつつ、フライ用シートを魔加工してエッチなチラ見せ伸縮グリップに。
伸縮幅は超小継モデルでは過去最高となり、かつ非常に感度もよろしいです。
部品代を手間でカバーする低予算化のための案でしたが、性能的にも良いですね。
こういった発見がご依頼品製作の醍醐味です。
チタンティップ、仕舞寸22cmはいつも通りの感じ。4’2″⇔4’6″の源流スペック。
6.AR-C S706ULパック化
ベース竿は、オーナー様が気に入っておられたAR-C S706UL。
その持ち味のしなやかさを活かしつつ、5ピース化しながらシャープさ向上とガイドの現代化を施しました。
感度感度うるさくて申し訳ありませんが、別物レベルに向上しています。
デザインはワンオフならではの素材を使い、オーナー様の工房のデザインをあしらって個性を出しました。
お使い頂いた感想は「ミドストロッドみたいなテイストなのに感度が良くて不思議!」とのことです♪
7.ライト〜ミドルバーサタイル可変スピニング
6’6″〜7’6″+3″ Cast 1.5〜21g
オーナー様が愛されていた86ULのブランクスをお預かりし、塗装剥がし・レングス詰めからのフルリメイクです。
デザインは細かい所までご指定頂きましたが、一部に鮑やマジョーラなどのアクセントを追加しています。
2バット式の可変長システムと、グリップ3inch伸縮システムが入っております。
全モードで感度が出るように調整するのが大変でしたが、何とか形にできました。
8.ベイトスピニング兼用テレスコアジングロッド
仕舞40cm 72gベイト5ft8in+4in スピニング6ft4in±2in複数の中空βチタンパイプを多段で組合せ研磨したオリジナルティップは、チタンながら超軽量です。
リールシートは16規格(加工済)と17規格を組み合わせ、フットが約3°前傾。更にブランク伸縮によりバットガイドを兼用しながらベイトスピニング両方でベストセッティングが出せるようになっています。
ブランク&グリップ伸縮機構、前傾異形リールシート、異形コルク、REC形状記憶ガイド等の特殊機構満載。もちろんどのモードでも反響感度はビンビン!
9.自分用研究竿 リバース可変システム
このブログ長すぎますね・・・あとは自分の研究用なのでサクッと。
7’4″⇄8’10" 仕舞寸49cm Wt.〜4oz
NFC製パックブランクスMB749-5ベースの研究用ビルド。#5がストレートパイプなのを活かし、自作のリバーシブルパワートリガーを装着。
普通に継げば7’4″ですが、#5を反転させオプショングリップを継ぐことでビースト810モードに可変します。
74モードは148gと軽量高感度。仮想金華山ロック竿です。端材利用で、コスメも無し。
10.ラグゼパックスタイルB4 74Mカスタムベイトロッド 8’2″⇔9’0″可変
先般ブログでご紹介したラグゼパックスタイル。高品質な小継パックロッドとして出色のシリーズですが、やはりそのまま吊るしで使えるほど従順ではありません。
チニング・シーバス・ミドゲーを兼ねられる可変ベイトロッドにすべく、ソリッド穂先を削り出し、それに合わせて延長・短縮ピースも製作しました。
グリップも熱収縮グリップの部分と、その下のカーボン部で分割でき、仕舞寸33cmを維持したまま9’0″⇔8’2″に可変します。
現在はAGS化して更なる性能アップを図っています。
めったに書かないくせに書くと長いという毎度の問題で恐縮です。ご覧頂きありがとうございました!
2024年もどうぞ宜しくお願い申し上げますm(__)m
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