バンタムMGLへの愛

2020年12月4日リール

思い入れのあるリールとは、性能云々よりその人の歴史によるものだと思います。

私にとっての一番の思い入れあるリール。ガキの頃でいえばカルカッタ101XTとか、00メタMgとかですね。お小遣い握りしめてショーケースに店員呼び寄せて…使ってみたらカルカッタなんかけっこうバックラッシュ激しくて泣きましたわ。メタMgは今でも名機だと思っています。

さて、釣り再開後に一番思い入れがあるのはどれか。これはもう間違いなく18バンタムMGLです。釣りの世界を広げてくれたリール。本格的なタックルカスタムの始まりでもあります。現在はバンタムMGLだけで3台のカスタムを所有しています。

<18バンタムスコーピオンMGL>

バンタムMGLカスタム
赤メタとの2ショット

バンタムの名を冠した歴史的名機といえば赤メタです。スプールさえ手を入れれば現代でも何ら見劣りしないリールです。ガッチリ感はむしろ勝るかもしれません。バンタムMGLを見た時、この赤メタまで脈々と受け継がれたバンタムの系譜を宿したいと思いました。そこで赤メタのエンブレムプレートをバンタムMGLに移植し、ワインレッドに塗装。我ながらめちゃくちゃカッコいい…。

性能面ではアベイル中溝スプールを軸とし、自作出目金レベルワインド、強化ドラグ、ドラグクラッカー(ふじ氏製)、ピニオンギアDLC加工、ハンドルカスタムを実装。またこの異形クラッチはKDWのエラー品を頂戴して取り付けました。KDWカケヅカさんとの出会いも大事な思い出です。思い出補正含めて、このリールは私の原点といえます。用途は主にソルトゲームです。

<19バンタレスAR>

バンタムMGL鏡面塗装
19バンタレスAR
バンタムMGL鏡面塗装2
KDWクロームクラッチでピカピカ
バンタムMGL銀鏡塗装
無駄に中までピカピカ(本当に無駄に)

バンタムMGLの市場評価って、わりと「裏切られた」という意見が多いです。コアソリッドボディは間違いなくコンパクトで強い。シマノ派としてはこのリール発表時に「アンタレスARの再来か?」と期待した人は多いはず。しかし出てきたのは、グリス切れの早いMMギア、時代の基準でいえばダルいキャストフィール、問題ないとはいえ気になるレベルワインド距離。シマノの扱いもあまり良いとは言えず、19アンタレスや20メタニウムの登場で微妙な立ち位置に。シマノがバンタムブランドを大事にしないなら、私がやったりましょう!ということで完成したのがこれ。

外装は、銀鏡塗装という塗装式のメッキです。依頼したところが傷自己修復コートまでできるということでお願いしたら、なかなかヌメヌメな仕上がり♪ただしコミュニケーション不足により、内装まで塗られてしまい調整に苦労しました…。地味なところでは当時もののハンドルを装着。このハンドルのデザイン好きです。

機能的トピックスはノーマルモジュールギアの搭載とパワースタックカーボンマトリクスドラグ。実はバンタムのギア寸法ってクロナークと同じです。なのでノーマルモジュールのポン付けができちゃいます。ただしピニオンギアの長さが少し短くなるので、X-SHIPの外側のベアリングへのかかりが浅くなるので自己責任で。

パワースタックドラグはアブガルシアの強力ドラグシステム。パワー系リールにふさわしいドラグ力を得ました。(要穴あけ加工)あと見た目がいいよね(笑)

バンタムMGLパワースタックカーボンマトリクスドラグ
パワースタックドラグとノーマルモジュールギア

<20バンタム100EX>

バンタムMGLがバンタム100EXのように。リール彫金
20バンタム100EX 101EXだろ?というツッコミはなしで

バンタムリールの歴史において圧倒的な美しさと性能で憧れの的となった作品、それがバンタム100EX。これを超えるエレガントさを持ったリールは古今東西ないのでは、というくらい素敵なデザインです。一方、バンタムMGLはというと、ダサい、無骨といった評価。いやそんなことはないはずだ(すいません嘘ですブサカワです。)ということで、究極のエレガントさと、その時代の最新技術を盛り込めないかと企画したのがこのリール。

塗装はブルメタ。実は当初アルマイトができないかと某所に相談したところ、「できらぁ!」とお応え頂いたのでお願いしました。ところがアルミとはいえ鋳物のバンタムMGL。見事に失敗し一時は水没リールのような無残な姿に…。しかしそこから誠意ある対応と見事なリカバリーで美しく塗り上げてくれました。

しかし問題が。バンタム100EXの要は外装に施された彫刻。これを再現すべくある彫金師さんに相談しておりました。が、アルマイトなら低リスクと思っていたところ、塗装になってしまいました。果たして剥がれなく彫れるのか…?

塗装屋さんには粘りがあり柔らかめの塗料をノンコートで使って頂き、最悪の場合は彫金後に微修正をして頂けることとなり、彫金師さんもノークレームということで快くお請けいただきました。その結果がこれですよ!惚れ惚れする美しさ。結局剥がれはなく、無修正でトップコートと相成りました。

リール彫金
アカメ

バンタムのアイデンティティたるサイドプレートには、日本の釣り師の夢、アカメを彫って頂きました。目は穴だけ用意してもらい自力でジュエリー挿入。またBantamの刻印の残し方が見事…。こんなにバンタムMGLが美しくなると誰が想像したでしょうか。

性能面では、リールカスタム界の神といわれるふじ氏に無理難題を依頼。それは20メタのMGLⅢスプール搭載です。

釣りフェスでバンタムと20メタのスプールディメンションが同じであることは確認していました。発表段階で予想はしていたのですが、確信できた時はムフフが止まりませんでしたね。3Dプリンタでワンオフの隙間埋めリングを作って頂き、更に出目金レベルワインドもワンオフで。極め付けはドラグクリッカーのおまけつきと、ふじ氏の技術満載です。

ハンドルは個人的お気に入りのNSクラフト製オールドバンタム用ハンドルにメガバスウッドノブ。KDWクラッチはプレゼント企画で頂いた大事な品。フルアルミで20メタより更にライン放出角の小さい気持ち良いキャストフィール。まさにパーフェクトバンタムといった仕上がりです。

これを仕上げて下さった凄腕彫金師さんはIMULTAさん。無理難題にも快く対応下さり、また仕上がりは超絶最高です。私以降、リールの彫金依頼が増えたのことでなんだか嬉しいですね。

IMULTAさんブログ https://choukinyorozu.com/

最後にバンタムシリーズ勢揃いで…

バンタム勢ぞろい
バンタムリール勢ぞろい

余談ですが、3台ともに出目金レベルワインドカスタムが施されております。実はこのカスタム、私以外の方がやると不具合出ることがあるようです。原因ははっきりしてるので仕方ないのですが、なぜか私は出ません。なぜか。たぶん愛なんです。そういうことですよ。バンタムMGL、このリールは本当に多くの出会いを生んでくれました。きっと一生使い続けるシリーズです。

2024.1.26追記 ついにアルミ削り出しの出目金カスタムパーツが中華から出ましたね…。