14モード可変・仕舞60cm。全てのハートランドを1セットで再現した もう一振りの22白震斬

2022年3月6日ロッド作品

パックロッドの魅力に、延長ピースや替穂などの可変ギミックがあります。このような可変ギミックもパックロッドが流行した現在ではごく当たり前に見ることができます。特にトランスセンデンスやモンスターキスなどの「本気系」メーカーでは積極的に採用されています。

以前、アジングからシーバスまで網羅するというコンセプトで1組みのパックロッドを製作しましたが、これらをご覧になった方から、08白震斬をベースにギミックてんこ盛りで!とご依頼を頂きました。ならば、ということで制作した竿の紹介です。


とりあえず基本要望としては機内持ち込み可能な仕舞寸。08白震斬の純正レングスは7ft6in。実はこの長さ、そのまま印籠継で4ピースにしても微妙に60cmを超えます。そのためまずは純正の並継部分まで加工を施し、またロゴも残してほしいということで慎重に調整を行い、ひとまず60cmジャストで継ぎます。そこから各ギミックを考えていくことにしました。幸いしたのが、ハートランド特有の「穂先が仕事をする」「可変アクション」なブランクです。このおかげで、レングス調整をしてもそれなりのアクションが出せてしまうのです。かなり時間を要したのですが、製作過程はあまり撮っていないのでいきなり完成です。

22ハートランド白冴風斬脇刀

Length: 4ft0in 〜 9ft8in

Closed length: 60cm

Power: XUL 〜 MMH

Guides: Titanium SiC10〜15、Torzite 4〜6

これがもう一つの22白震斬、22ハートランド白冴風斬脇刀
各種ギミックにより冴掛SMT、白疾風、リベラリスト、カワスペ、オーバーゼアなど14種のモードを実装。かつ全てのモードで美しく曲がり、振り抜きも良く、太陽光で色が変わるハートランドの味を踏襲。ギミックはおろかパックロッドであることすら感じさせない仕上げを目指しました。

外観

21ドットスリーのように太陽光で色が変わる白をご希望頂きました。変化色はモードにより藤色と鶯色が良いとのこと。

⑧⑨は紅藤色〜青藤色パール、他は鶯色パール+鮑と藤巻きで仕上げました。
継ぎ目もカーボン地が見えないように処理し、パックロッド感を少しでも減らすようにしています。

塗装仕様メモ:ミッチャクロン→ベースホワイト→VGパールエメラルド、VGレッド→VGコバルト→クリア

可変ギミックと各モード

14種もの可変は、①形状記憶チタンパイプ付トップガイド、②チタンチューブラー替穂、④ハード替穂、⑧延長ピース、⑨ベイトグリップ(ハマスペジャンク品延長改造)、⑩カーボンモノコック和グリップ、そしてスライド式ガイド×2により実現しています。ハマスペはオーナー様より頂いたもので、エンド部分が破壊されていましたが、手持ちの折れハートランドからエンブレムを強奪してロング化しつつ再生しています。その他各部にはなるべくハートランド製品から取り出したパーツを流用して無駄に拘っています。

スピニングロッドのレングス可変において課題となるのはバット付近のガイド設定です。リール位置が変わると径も足高も大きく変わるため、ベストなセッティングが極めて困難となります。さらに今回はベイトロッドにも可変させるため、普通の考え方では成立しません。そこで考案したのがスライド式ガイドです。これは下の画像のように位置を可変できます。これを一つ上のガイドに寄せると、2段でラインのループを収束させる特殊バットガイドに変わります。これによって米国メーカーのマイクロウェーブガイドと、ストローセッティングの中間的なセッティングとなり、ラインのループを早期に収束させ気持ちよく飛ばすことができます。このギミックで慎重に配置調整することにより、ほとんどのモードでほぼベストなガイドセッティングが出せるようになりました。さすがに4ft台のセッティングではベストとは言い難いのですが、そのモードでは飛距離は求めないので十分実用です。

この位置から
こうやって移動します。糸抜けも綺麗ですよ


というわけで各モードの解説です。

②③⑤⑩ 514XULXS-SMT 白冴掛脇刀SMTショート
アジトラウトモード。チタンチューブラー穂先とモノコックグリップで抜群の感度を誇ります。前述の通りセッティングの妥協はあるものの、感度については下手なアジングロッド顔負けです。ダイワ表記的にはSMTよりSMTTでしょうか。

①③⑤⑩ 483MLRS 白渓斬脇刀
旧き良きバッシングスピン風味。渓流トゥイッチにも使えるモードです。渓流で使うハートランド、粋じゃないですか?

④⑤⑩403MSS 白穴掛脇刀
さすがにお遊びモードですが、穴釣などには良いと思います。このハード替穂はMMHクラスの硬さもさりながら、やや「への字」曲がりに設定しており、ちょっとハートランドらしからぬ汎用性を意識したモードになっています。

ここからはそれぞれの穂先を使った中間レングスモードです。

①③⑤⑥⑦ 764MMLFS 白震斬脇刀
純正分割の基本モードです。しかし継ぎ目の微調整とガイドの軽量化によって純正08白震斬よりむしろ軽快なくらいに仕上がっています。ロゴもしっかり残しました。

②③⑤⑥⑦ 805ULMXS-SMT 白冴掛脇刀SMT
純正モードにSMTT穂先をつけたモードです。遠投ライトゲームが主ですが、フロート、筏黒鯛、カワハギ等にも使えるでしょう。

①③⑤⑥⑨ 724MMLFS 白震斬脇刀ベイト

ベイトグリップを装着すると白震斬のベイトモードです。ややフィネスな釣りに気持ち良い感じ。

④⑤⑥⑨ 664MMHRB 白疾風脇刀

ハード替穂をつけたモードです。ハートランドZの世代からすると涙が出る感じのテイストです。個人的に好きなモード。バスのオールラウンダーとして。

④⑤⑥⑦ 6104MMHRS 白疾風脇刀スピニング

スピニングの中間レングス,ハード替穂のモードです。白疾風スピニングとでも言うようなテイスト。バスのパワーフィネスがピッタリかと。

ここからは延長ピースを使ったロングモードです。

①③⑤⑥⑧⑦ 925MMLFS 白リベラリスト脇刀

標準穂先、延長ピースを使ったスピニングです。今年はハートランドリベラリストが発表されましたが、もう一息のレングス延長で更にソルトに強くなったリベラリストといえるかと思います。

①③⑤⑥⑧⑨ 8105MMLFB 白カワスペ脇刀

白リベラリストのベイトモード。カワスペ的なフィネス寄りロングロッドの味を持っています。カワスペ好きに納得してもらえる使用感になっているかと。

④⑤⑥⑧⑦ 865MMHRS 白震斬琵琶湖スペック脇刀

ハード穂先、ロングモードのスピニング。やはり琵琶湖ヘビキャロでしょうねぇ。

④⑤⑥⑧⑨ 815MMHRB 白オーバーゼア脇刀

現行オーバーゼアよりやや弱めの「白」なオーバーゼア。ロックフィッシュなどソルトでは使い勝手の良いモードです。

②③⑤⑥⑧⑦ 986ULMHXS-SMT 白別誂冴掛脇刀SMT
②③⑤⑥⑧⑨ 946ULMHXB-SMT ???

さすがにこの2モードは謎です…一応できるということで…(笑)


以上です。作っていてとても勉強になり、楽しいご依頼でした。しかし疲れました…もう依頼されてもやりたくないです(笑)